ファッション

デルタ航空なら渡米の間にサステナできちゃう件

 「WWDジャパン」8月5&12日合併号は、デニム特集です。今年はジーンズの生まれ故郷であり、作業着からファッションへ生まれ変わった地でもあるアメリカ西海岸を取材しました。「せっかく渡米するなら羽田からアメリカ気分」でと選択したのはアメリカ系のデルタ航空。“プレエコ(プレミアムエコノミークラス)”にあたる“デルタ・プレミアムセレクト”クラスに搭乗です。

 皆さん、飛行機に乗って最初にやることってなんですか?僕はヘッドホンのテストです。これは以前、別の航空会社による欧州からの帰国便でエンターテインメントシステムに不具合があり、いっさい視聴できずに12時間を“お地蔵さん”のようになって過ごした苦い経験に基づくもの。今回も無意識にそれをやろうとすると、木製パーツを使ったグッドデザインなヘッドホンに目がとまります。これはロサンゼルスに本社を置くLSTN サウンド社による廃材を再利用したアイテムで、デルタ航空用に特別にノイズキャンセリング機能を持たせたものなんだとか。実は僕、“NO MUSIC, MY LIFE.”なもんでイヤホンやヘッドホンにほとんど触れた経験がなかったのですが、ノイズキャンセリング機能って本当にすごいんですね!周りの音が遮断され、映画にぐっと集中できました。しかもLSTN サウンドは、売り上げの一部を非営利団体スターキー・ヒアリング財団に寄付しており、同財団は難聴の方に補聴器を届ける活動を行っているんですって。

 音楽は聴かないものの映画は大好きなので、離陸前から着陸後のシートベルト着用サインが消える瞬間まで時間いっぱい映画を見ます。限られた機内スペースでも、映画にはできるだけリラックスした状態で没入したいもの。その点“デルタ・プレミアムセレクト”はゆったりシートで深くリクライニングできて、可動式のフットレストとレッグレストを調整すれば体を伸ばせるので、12時間の空の旅は快適です。映画も往復で12本見ました!

 1日の半分、きっちり機上の人となるわけで食事もやはり楽しみ。“デルタ・プレミアムセレクト”の食事はきれいに食器に盛り付けられ、メインディッシュはビジネスクラスの“デルタ・ワン”と同じものが供されます。特に和食メニューは、ミシュラン2つ星を獲得した大阪の和食店「⼀汁二菜うえの」の上野法男料理長が考案・監修したもの。カトラリーと食器は、イタリアの「アレッシィ(ALESSI)」がデザインしたオリジナルです。

 デルタ航空は2018年4月に国際線のメインキャビン(エコノミークラス)のカトラリー用ビニール包装を廃止したことを皮切りに、機内や空港ラウンジのストロー、マドラーなど使い捨てプラスチック製品のビニール包装や使用そのものを廃止する取り組みを続けています。これにより年間136t(ボーイングB757型機2機分の重さ!)以上のプラスチックごみを削減できるんですって。

 さらに空港ラウンジでは希望者に生分解性ストローを渡しており、食器類においても同様の代替品への移行を開始しています。機内でも順次、冷たい飲み物に付けられる赤いプラスチックストローを竹製マドラーに、温かい飲み物に付くプラスチック製マドラーを樺の木製のものに変更するとか。空港ラウンジと機内を合わせて、年間1億8300万本以上のプラスチックストローとマドラーが削減できるそうです。

 プラスチックごみ削減プロジェクトはまだまだあります。“デルタ・プレミアムセレクト”のアメニティーは「トゥミ(TUMI)」とコラボしたオリジナルポーチに、ニューヨークのスキンケアブランド「マリン&ゴッツ(MALIN+GOETZ)」のリップクリームやアイマスク、⻭磨きセット、靴下、ウエットティッシュが入ったものなんですが、このアメニティーのビニール包装も廃止して年間14万tのプラスチックごみ削減に成功しています。小さなことに見えても、デルタ航空の運航数は1日5000便、年間搭乗者数は約2億人なので結果は絶大です。

 さらにデルタ航空のホームページでは、自分の移動に伴う二酸化炭素排出量とそれを削減するための費用が計算でき、それを目安に自然保護団体ザ・ネイチャー・コンサーバンシーに寄付して森林保護プロジェクトを支援することができます。なるほど、サステイナブルな試みは多様です。

 優先チェックインや手荷物の優先受け取りなど“デルタ・プレミアムセレクト”の恩恵は地上でも受けられ、いそがしいビジネスパーソンにもうれしいはず。僕は短縮できた時間で、あらためて“サステイナブル”について考えてみました。なんといってもジーンズ業界最大の関心事は、この“サステイナブル”。特集では各社のさまざまな取り組みを伝えます。

 “デルタ・プレミアムセレクト”の話ばかりしてしまいましたが、全てのクラスで機内用スリッパやアイマスク、耳栓を提供していたり、スターバックス コーヒーやスパークリングワインをサービスしているのもデルタ航空の特徴です。

 アメリカ系のCAさんってベテランの方が多く、ちょっとぶっきらぼうにも見えますが、僕の細かな飲み物のオーダー(好み)を覚えてくれていて、お代わりでしっかり再現してくれたり、子ども用のおみやげが見えると「お嬢さんはおいくつ?」と声を掛けてきてくれたり、離発着ギリギリまでアメリカ気分でした。

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