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“スニーカー × 動物”のアートで話題 芸術家デイブ・ホワイトが語る動物愛とナイキ愛

 スニーカーショップのアトモス(ATMOS)はこのほど、トラ、ヒョウ、キリン柄のスニーカー、“アニマル パック3.0”の発売に合わせ、アトモス千駄ヶ谷店で英国出身のペインティングアーティスト、デイブ・ホワイト(Dave White)とコラボしたインスタレーションを行った。動物を中心とした自然界の創造物を描くデイブは、過去に「ナイキ(NIKE)」とのコラボで、キツネやウサギのイラストを“エア マックス 95”にペイントするなど、スニーカー界隈では広く知られる存在だ。このインスタレーションのために千駄ヶ谷店に併設されたギャラリースペースには、デイブが描いたトラやヒョウなどの動物の作品がズラリと並んだ。その作品を眺めながら、なぜ動物を描き続けるのか?また、なぜ「ナイキ」とのコラボが始まったのかなど、気になることを話してくれた。なお、“アニマル パック3.0”は既に完売している。

WWD:どうして動物にフォーカスした絵を描くのですか?

デイブ・ホワイト(以下、デイブ):スニーカーには“レア”という言葉があるけど、動物も同じようにとても希少な存在だからね。僕は絶滅危惧種を描くことが多くて、動物の希少性と本当の美しさを伝えたいと思っている。それが動物を描く理由だね。

WWD:これまでどれぐらい動物を描いた?

デイブ:10年前ぐらいから動物を描いているからもう何百という数字になるかな。数え切れないぐらい描いたよ。

WWD:今まで一番描いた動物は?

デイブ:ホオジロザメと象かな。

WWD:なぜサメなのですか?

デイブ:地球上でもっともレアな存在だと思うから。海の王者だし、力強いところも本当に美しいよ。

WWD:自然界の動物とファッションは一見相反する要素に思えるけど、最初に「ナイキ」とコラボレーションしたエピソードを教えてください。

デイブ:“エア マックス 95”の時かな?実はもともと動物の前は「ナイキ」のスニーカーを描いていたんだ。それがなぜか「ナイキ」のスニーカーに僕のアートを乗せることになった。本当に信じられなかったよ。そういうストーリーがあるから意外と相性はよかったんだ。今だに信じられない。

WWD:相当な“ナイキ愛”ですね。腕に“エア ジョーダン 5(AJ5)”のタトゥーを入れているとも聞きました。

デイブ:有名なタトゥー職人のビージェイ・ベッツ(B.J BETTS)に自分が大好きな“AJ5”を描いてもらったんだ。“AJ5”は第2次世界大戦当時の戦闘機からデザインのヒントを得ている。「ナイキ」のスニーカーデザインで、初めて3Dを取り入れていたり、とてもイノベーティブなんだ。初めて見た時、とても美しいフォームに感激したのを覚えているよ。

WWD:今でこそ「ナイキ」はグローバルなブランドですが、ヨーロッパ出身のあなたにとって、当時は「アディダス」や「プーマ」の方が身近だったのでは?なぜ「ナイキ」に興味を持ったのですか?

デイブ:僕の子どもの頃は今みたいなストリートカルチャーはなかったから、スニーカーといえばサッカーから始まったんだ。「ナイキ」が急激にサッカーシーンに入ってきた時期があって、その時「なんだこの靴は?」って衝撃を受けた。それで周りの友だちもみんな「ナイキ」を履き始めたんだよ。とてもユニークでおもしろい存在だったからね。

WWD:初めて買った「ナイキ」のスニーカーを覚えていますか?

デイブ:ブルースエードの“ブレザー”を父親に買ってもらった。よく覚えているよ。

WWD:まだ“ブレザー”とはコラボしていませんよね?

デイブ:そうなんだ!早くコラボしたいよ(笑)。

WWD:「ナイキ」とコラボした“エア ジョーダン 1(AJ1)”は動物のデザインではありませんでしたが、イメージソースは何ですか?

デイブ:チャリティーオークションの為にデザインしたものだから、とにかく手にした人が王者である、というところにこだわった。ゴールドのアメリカ国旗で、履いている人が周りからすごいなって思ってもらえるようにね。

WWD:今リセール市場だと8000ドル(約86万円)を越えていますよね。それについてはどう思いますか?

デイブ:23足しかなかったからね。チャリティーの為に作ったものだからリセール市場で売った人も本当はそれをチャリティーに寄付するべきだと思う。

WWD:その通りですね。アートもスニーカーのリセールも買い手が価値をつけるという意味では同じような感覚がありませんか?

デイブ:そうだね。アートと今のスニーカーのリセール市場は似ている所があるかも知れない。アートと一緒で価値を見出すのはお客さんと言うのは正しいけど、お金になるから買うというのはやめて欲しい。かっこいいからだとか、好きだからという気持ちで買って欲しい。スニーカーに関しても今はお金になるから買っておこうという人が多いよね。だから今回アトモスとコラボレーションして、もっとアートに触れやすい窓口を作ってみたいと思ったんだ。それで初めての試みとして、3万円で買えるプリント版を用意した。そういう風にスニーカーを1足買うぐらいの気持ちでアートに触れられるようにしたかった。

WWD:Tシャツにもアートをプリントしていますね。自分のアートをたくさんの人が着るということについてどう思う?

デイブ:実はプリントではなく、全て刺しゅうになっているんだ。プリントすれば簡単なことだけど、それをあえて手間をかけて刺しゅうで表現してくれた。僕も絵を描くときにわざわざ24金の素材を使ったりすることがあるんだけど、すごく自分のアートを理解してくれているようでうれしかった。自分の絵を知らない人がこのTシャツを通して自分のことを知ってくれることをとても楽しみにしているよ。

WWD:今回発売する“アニマルパック3.0”については?

デイブ:すごくかっこよくて(3型とも)全部好きなんだけど、1つだけ選べと言われたらヒョウ柄かな?僕はトラも描くけど、ヒョウを描くことが多くて自分のアイデンティティーでもあるからね。

WWD:量もすごく少ないみたいですね。ヨーロッパやアメリカを見ていて、今のスニーカーシーンをどう思いますか?

デイブ:今回は、自分もスニーカーカルチャーに参加させてもらっているという感覚なんだけど、「そのスニーカーかっこいいね」とか、スニーカーからコミュニケーションが始まることって素晴らしいよね。転売とかいろいろと叩かれている問題はあるけど、それで生活している人もいるから全てが悪いとは言えない。だからスニーカービジネスって面白いし、それに自分も参加できるのは幸せなことだね。

WWD:今後のプロジェクトについて教えてください。

デイブ:今はゴリラの作品を描いているんだ。12月にはルワンダにゴリラに会いに行くんだけど、これからやっていきたいのは実寸サイズの絵を描くこと。象の実寸やシロナガスクジラの実寸を描くことだね。それを一生かけてやっていきたいと思っている。