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サマンサ寺田社長が語る退任理由 「“寺田一強体制”を崩したい」

 サマンサタバサジャパンリミテッドの創業者の寺田和正社長(53)は、23日に開かれた2019年2月期の決算説明会で自身の進退について説明した。寺田社長は25日付で退任し、後任には藤田雅章専務取締役(65)が昇格する。寺田社長は一旦取締役に異動した後、5月23日開催予定の定時株主総会後に取締役も退任する。

 第一線を退くが、ファウンダーという立場で社に残り、同社の悲願である“日本発世界ブランド”としての地位確立と海外進出のために尽力するという。一部で取り沙汰されている業績低迷による辞任という見方を寺田社長は否定する。19年2月期は3期連続の最終赤字だったものの、主要因は法人税等調整額の計上によるもので、本業のもうけを示す営業損益は黒字に転換した。18年3月から採用しているカンパニー事業部制が軌道に乗ったことで「自立自走できる体制が整った」と構造改革の成果を強調した。

 寺田社長は、自身の退任は創業者頼みになりがちな企業風土を刷新するためであり、以前から考えていたと話す。「突然の社長交代ではなく、実は今回が3回目のチャレンジ。過去にも会長兼社長になってみたり、COO(最高執行責任者)を立てたりしてみたが、自分が株式の大半を持っていることからも影響力が大きく、“寺田一強体制”からの移行がうまくいかなかった。自立自走できる組織を作っていくと決めたのは十数年前。今の体制を一度壊すことで個々の能力を引き出したい」。

 後任の藤田専務取締役は「25年間、寺田(社長)の下でたくさん勉強してきた。世界ブランドという目標をブレずに進め、5月の株主総会後にCOOに就任予定の渡邊貴美氏からグローバルなビジネスについて勉強したい」と抱負を語った。

 同社の19年2月期連結決算は、売上高が前期比13.7%減の約277億円、本業の営業損益が約6億6400万円の黒字(前期は約16億円の赤字)だった。店舗数減による人件費削減や広告宣伝販促費削減などが奏功した。

 純損益は約13億円の赤字だったが、前期(約37億円の赤字)からは改善した。繰延税金資産の一部取崩しと約18億円の特別損失の計上を行った。具体的には、繰延税金資産の一部取崩しによる法人税等調整額約15億円と、減損損失として2億5700万円を計上した。これによって親会社株主に帰属する当期純利益の当初の予想が3億400万円の黒字だったのに対して実績値が13億円の赤字となった。一方で株主への配当は予定通り行われる。一株当たり10円。

 20年2月期は1、ブランド力の強化と各カンパニー事業部の収益性向上、2、構造改革による企業収益性・効率性の向上、3、財務体質の健全化、4、次世代グローバル・リテール・ビジネス・プラットフォームの構築、5、プロフェッショナル・リテーラー集団の増強と育成、6、海外事業の加速化の6つの取り組みを掲げている。連結業績予想は売上高278億円、営業利益7億1100万円、経常利益6億8300万円、純利益3億600万円とする。