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装飾工芸技術の極み「ジャケ・ドロー」の魅力とは?

 
 スイス発時計ブランド「ジャケ・ドロー(JAQUET DROZ)」の創業280周年を祝う特別展が6月22~24日、銀座 蔦屋書店のイベントスペースで開かれました。「ジャケ・ドロー」といえば、時計愛好家にこよなく愛されるブランドです。数年前に行ったバーゼルワールドで見た、羽ばたく鳥が文字盤に施されたウオッチを思い出します。特別展のテーマは“アトリエ・オブ・アート”“オートマタ”“グラン・セコンド”の3つで、既に同展は香港、ミラノ、チューリヒ、マカオ、リスボンで開かれたものです。

 開いた本のような演出の会場では、今年の新作および、“パロット・リピーター ポケットウオッチ(以下、ポケットウオッチ)”と“サイニング・マシーン”という比類なきお宝アイテムが展示されていました。21日に開催されたプレビューでは、来日したクリスチャン・ラトマン(Christian Lattmann)最高経営責任者(CEO)自ら、これら2つのお宝のプレゼンテーションを行いました。イエローダイヤモンドやルビー、サファイアなどを施した“ポケットウオッチ”はジュエリーさながらの美しさ。しかも、蓋を開けるとエナメルが施された卵とオウムが現れ、卵は孵化し、オウムが動き、滝が流れる仕組みになっています。この“ポケットウオッチ”の中には自然を描いた小宇宙が息づいているのです。約2時間の間に数回プレゼンテーションを行ったのですが、毎回、それを近くで見ようと多くの人だかりができました。私自身も、取材中でありながら夢中になってプレゼンテーションに見入った次第です。

 もう1つのお宝“サイニング・マシーン”は研究開発に4年を費やした新作オートマタです。オートマタとは12~19世紀にヨーロッパで作られた自動機械の人形のこと。スイッチを入れるとピアノを弾く人形などがその一例です。この“サイニング・マシーン”は人形ではなく、人物のサインを滑らかに再現する機械で、その複雑で見事な動きには驚かされます。

 本国から職人も来日し、デモンストレーションを行っていました。顕微鏡を見ながら文字盤に何かを描いています。彼は「何を使って描いているか見てみるかい?」と顕微鏡をのぞかせてくれました。細密画の材料はなんと、卵の殻。細かく砕いた卵の殻を使用し、動物などのモチーフを描くそうです。

 このイベントに参加し実感したのは、テクノロジーが発達し、デジタル化が進む時代ですが、やはり人はこのような精密な時計製造技術や装飾工芸技術を施した作品に魅力を感じるものだということでした。“ポケットウオッチ”は世界限定1本で価格は1億1420万円。“サイニング・マシーン”は受注生産で3995万円。容易に手が届くものではありませんが、このような芸術品ともいえる作品を見ることができたのは幸運です。夢の世界にいざなうこの“ポケットウオッチ”を手に入れる人は一体誰でしょうか?

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