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子育て社員のサポート者に月3000円支給 レナウン新手当の狙いとは?

 レナウン(RENOWN)は3月、育児休職から復帰後に時短で勤務する販売員と一緒に働くスタッフに向けて「ほほえみサポーター手当」を導入した。育児による時短勤務者がいる売り場のスタッフに対し、月3000円を支給するという。井関理・管理統括部 副統括部長(以下、井関)に導入の経緯などを聞いた。

WWD:近年、ファッション業界でも育児や介護・看護をしながら働く人へのサポート体制は充実してきているが、大半はその当事者へのサポートで、彼らをフォローする周りのスタッフに手当するというのが新鮮だ。導入の経緯は?

井関:北畑稔・社長の体制になった2009年頃からポジティブアクション(女性社員の活躍推進)に企業として取り組み始めた。子どもが小学校を卒業するまで時短勤務を認めるなどの育児援助のための制度はすでに導入しているが、そうした制度の実施には、周りのスタッフによる当事者のサポートが必要不可欠だ。時短勤務の当事者に対しては制度を充実させてきたが、周りのスタッフにも何かできないかということでいろいろ検討し、今回制度として実現した。

WWD:さまざまなサポートの仕方が考えられると思うが、月3000円の支給に決めたのは?

井関:こちらとしては“多からず、少なからず”という金額のつもり。社内でヒアリングをして決めた。金額についてはいろいろな印象や考えがあると思うが、“気持ちを伝えたい”というのが、こちらの意図だ。

WWD:非常に分かりやすい施策だと思う。売り場のみで内勤者への適用はないのか?

井関:内勤の場合はスタッフの数が多いので、子どもの病気などによる突然の休みや時短勤務に対して融通を利かせることができるが、売り場は大概少人数でシフトを回している。子育てするスタッフは早番や土日休みなどの希望が多く、必然的に周りのスタッフがそれに合わせるようになる。そうした人たちに「協力してくれてありがとう」という会社としての姿勢を制度として形にした。

WWD:社内の反応は?

井関:「会社が(周りの人についてまで)考えてくれて、ありがたい」という声はあるが、子育てする人と働いたことがない人にとっては、なかなか具体的なイメージがつかみづらいようだ。今後、社内で制度がより浸透するようにしていきたい。

WWD:実際に適用されるのは何人くらいなのか?

井関:社員約4000人のうち、約3000人が店頭勤務者だが、対象者はそれほど多くはない。時短勤務者はこちらで把握できているが、土日も出勤している人がいるなど、働き方やその売り場によって状況が異なるので、対象者の洗い直しをしているところだ。

WWD:今はどこの売り場も人手不足で、出産や育児による離職は極力避けたいところだ。周りに負担を掛けることを懸念する時短勤務者にとっても心理的負担が減ることになるのでは?

井関:そうであることを願う。今は店頭、内勤共に100%育休から復帰している。また、総合職の新卒採用も女性が増えた。育児や介護に対するサポートは働きやすさを確保する上で必須だ。われわれは12年に人事制度を改定し、会社としてワークライフバランスや子育て、ダイバーシティへの取り組みを明確にした。今回の制度は、16年に設置したダイバーシティ委員会による初の制度導入としての成果でもある。