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日本の現地採用第1号女性が明かす 米「エル・エル・ビーン」のゴールデンルール

 前職を含めて、カスタマーサービス歴30年。島田千代子=前エル・エル・ビーン・インターナショナル ダイレクトチャネル事業部シニアマネジャー(以下、島田)は、「エル・エル・ビーン(L.L.BEAN)」の日本における現地採用者第1号として、日本法人立ち上げとブランディングに携わってきた。コールセンターを含むカタログEC通販事業を22年統括して、3月末で同社を定年退社した。退社を間近に控えていた彼女に、仕事の醍醐味について聞いた。

WWD:そもそも「エル・エル・ビーン」に入ったきっかけを教えてください。

島田:もともとダイレクト・マーケティングのサービスプロバイダーに勤めていて、そのクライアントの1社が「エル・エル・ビーン」でした。ちょうど日本に進出し始めたタイミングで、カタログ請求を受けて、オーダーをデータ入力するといった試験運営を2年ほどしていて、私はその管理者として携わっていました。サービスプロバイダーとしての関わりだったのですが、オペレーターを教育しなければならないので、アメリカの本社でトレーニングを受けたりしていました。ところが、「エル・エル・ビーン」が本格的にコールセンターを立ち上げる際に、勤めていた会社がコンペに負け、さらにその会社がクローズすることになってしまいました。一方、「エル・エル・ビーン」は日本における監督者が必要ということで、本国に採用されました。ラッキーでしたね。

WWD:「エル・エル・ビーン」は好きだったのですか?

島田:本社に行って、商品のバックグラウンドも分かりましたし、とてもいい会社だったので、すごく感銘を受けました。ほとんどカタログ通販のビジネスで、カスタマーサービスもトップクラスだったので、非常に勉強にもなりました。年2回2〜3週間ほど本社に行き、そこで同僚や上司と話したり、アクティビティーを通して「エル・エル・ビーン」イズムにどっぷり浸かりました。1912年に創業した老舗企業ですが、創業者の哲学をずっと引き継いでいますね。

WWD:例えばどんな哲学ですか?

島田:「良い商品を適正な利潤で販売し、お客さまと人間らしく接すれば、必ずお客さまは私たちの所へ戻ってくる」という考えです。そもそも「エル・エル・ビーン」は通販がメーンのブランドですが、カスタマーサービスをフロントラインと呼んでいます。お客さまはもちろん大切なのですが、そのお客さまと接するセンターのスタッフも大事にしていかないといけないという考えが本部にあり、逆ピラミッドの組織でないといけないと教わりました。

WWD:それが実践されていましたか?

島田:はい。コールセンターにアルバイトのオペレーターがいるのですが、彼らがものすごくプロフェッショナルなんです。電話のプロで商品知識もあり、全然媚びてないというか、プライドを持って働いているんですよ。上司との関係も対等で、管理者も彼らのプロフェッショナリズムを尊重していて、いい会社だと思いました。いい職場でないといい接客はできないという考え方が根底にありましたね。

WWD:100年以上続く企業で、創業者哲学が受け継がれているのは素晴らしいですね。そのカルチャーは今も変わっていないですか?

島田:危うくなるときもありましたが、今も一族が株主で、基本的にお客さま、従業員、株主、取引先、地域社会、自然環境という6つの視点でバランスを考えて、納得できるところに落とし込んでいくという感じですね。フロント優先というのは変わらずで、今もボーナスが出るときはアルバイトにまで出ますし、ホリデーシーズンのプラスギフトも、業績が悪いとフロントにしか出ません。お客さまとのやりとりによって売り上げが立つので、削られるのはバックオフィスからになります。

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