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日本の産地に詳しい親日家デザイナーのセシリエ・マンツ

 デンマーク人のプロダクトデザイナー、セシリエ・マンツ(Cecilie Manz)が来日した。彼女は、「フリッツ・ハンセン(FRITS HANSEN)」の家具やアクセサリー、「ライトイヤーズ(LIGHTYEARS)」の照明器具など幅広いプロダクトのデザインを手掛けている。フランス・パリで開催される雑貨の見本市「メゾン・エ・オブジェ(MAISON ET OBJET)」の2018年1月期のデザイナー・オブ・ザ・イヤーに選ばれるなど、注目の女性プロダクトデザイナーだ。フリッツ・ハンセン社が2015年に傘下に収めた「ライトイヤーズ」の販売を日本でスタートするのを機に、両ブランドにゆかりのあるマンツが来日し、トークショーを行った。

照明器具の名前はアーティスト名から

 マンツは約12年前に「ライトイヤーズ」の照明“カラバッジョ”を手掛け、まずスケッチから始めて、4つのパーツだけで構成される照明に仕上げた。シンプルな釣鐘型の照明はさまざまな空間に馴染み、ベストセラーになった。黒いシェードに赤いコードなどコントラストを利かせたものもある。来年には新色も登場する。名前に関してマンツは、「“ミンガス”や“モンドリアン”という照明もあり、アーティストの名前をテーマにしている。商品と直接関連があるというわけではない。例えば“ミンガス”は、チャールズ・ミンガス(Charles Mingus)が好きだから」と話す。

産地で工場と2人3脚でモノ作りする親日家

 彼女のお気に入りのデザインの一つに「フリッツ・ハンセン」の“ミナスキュール”チェアがある。丸みを帯びた包み込むようなシートが優しく温かな雰囲気を醸し出している。「フォーマルでないミーティング用のチェアを想定してデザインした。だから、少し低めになっている。100枚くらいスケッチを描いた。コストとのバランスを見ながら、ハンドクラフトも盛り込んでいる」とマンツ。同ブランドのアクセサリーラインの“オブジェクツ”にもプフや陶器をデザインしている。陶器に関しては、日本の瀬戸の工場で釉薬の開発から行った。マンツは、「テーブルの上に家族のように集まる陶器を作りたかった。工場で製造過程を見るのがとても楽しかった。日本は全国に、いろいろな産地があるから素晴らしい。例えば、瀬戸もその一つ。新潟は包丁などの金属製品、大分は竹細工の産地というように……」という。両親の仕事の関係で幼少期を日本で過ごしたことのあるマンツは大の親日家で、産地に出かけて工場スタッフと二人三脚でモノ作りをするのが好きなようだ。

最初の思いを大切にデザイン

 自身のスタジオのスライドを見せながらマンツは、「デザインは、アイデアを紙に書くことからスタートする。日常に使用するものだから、機能性、シンプリシティーは欠かせない要素。また、日常の生活を観察することが重要だ。デザインしたものは、私自身の生活空間でテストするようにしている」と語る。自然光が入るスタジオにはさまざまなオブジェを集めた部屋もある。「オブジェから素材のテクスチャーのヒントを得ることがある。カラーもデザインする際に考えるから、自然光が入る環境は必須。テーブルに幾つかカラーのサンプルを並べて、それぞれのカラーのシナリオを作って絞り込む。それから、それらに近いパントンを探す」という。家具から照明器具、テキスタイルなどさまざまなデザインを手掛ける彼女が最も大事にしていることは何だろう?「最初のスケッチが一番重要。なぜならいろいろな考えが集約されているから。スケッチと完成品を比べるとそれがよくわかる。だから、最初の思いを大切にデザインするようにしている」とほほ笑んだ。