ビジネス

ファッション企業の本社ビルを考える

 「大黒柱に車をつけよ」。現在のイオングループの創始である四日市岡田家の有名な家訓である。「店の屋台骨を支える大黒柱に車をつけて、いつでも動かせるようにしておけ。時代や人間の変化に応じて店(商売)はフレキシブルに展開せよ」という意味だろう。似たような業界格言に「本社ビルは建てるな。建てた途端に会社が傾く」というのがある。本社ビルを建てて一丁上がりと経営者が思い込んでしまいがちなのを戒めた言葉だろう。ファッション業界の本社ビルを数々見てきたが、進取の気性をなくし、本社ビルを建てて守りに入った企業の多くは、そのビルを失っている。大切なのはスクラップ&ビルド、成功に満足しない気持ちなのだろう。

 余談だが、ルイ・ヴィトンジャパンの秦郷次郎・元社長に「ベルナール・アルノーLVMH社長兼CEOは実家が不動産業なのに日本ではあまり不動産を買いませんね?」と尋ねたことがある。「そうなんです。よほど戦略的な意味がないと買いませんね。不動産よりラグジュアリー・ビジネスに投資した方がもうかるからでしょう」と答えていた。さて私がこの30年ばかりの間に見たうちで最も驚いた日本のファッション企業の本社ビルを紹介する。何故そのビルを思い出したかというと、その企業が最近ニュースで紹介されたからである。WWDJAPAN.COM(5月26日付)によれば:―ヤマトインターナショナルは「AIGLE(エーグル)」とのライセンス契約を2017年2月28日に終了。これは同社の売り上げの25%に当たる。「エーグル」はフランスのアウトドア・ブランドで、「ラコステ」と同じマウス・フレール・グループ傘下に属し、今後はラコステジャパンがライセンシーの受け皿になるという。同社はすでに数年前から企業体質強化のために中期構造改革を進めていたが、今回契約更新しなかったのを機に平和島にある東京本社の過半および大阪本社などを賃貸物件に改める―

[rel][item title="ヤマト インターナショナルが「エーグル」契約を早期終了 売上高の25%失う" href="https://www.wwdjapan.com/business/2016/05/26/00020626.html" img="no" font="medium"][/rel]

 その過半が賃貸になると今回発表された同社の東京本社ビルが私にとって今まで最も印象的だった本社ビルだ。同ビルは建築家の原広司(はらひろし、1939年〜)・東京大学名誉教授が設計し、1987年1月に竣工した。同氏の設計で最も有名なのは京都駅だ。ヤマトインターナショナル東京本社ビルに似ている。いずれもポストモダンを代表する建築といわれる。

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