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「スノーピーク」が赤城で目指す キャンプと育む地域の未来

キャンプを楽しむだけでなく、その土地の自然や文化、人々とのつながりにも目を向ける。新潟発のアウトドアブランド「スノーピーク(SNOW PEAK)」が群馬県の赤城山で進めるのは、そんな新しい滞在の形だ。2026年4月に“スノーピーク 赤城 キャンプフィールド”が開業し、9月には周遊拠点となる“スノーピーク ランドステーション 赤城”もオープンした。オープンに先立った9月中旬、キャンプフィールドでの宿泊に加え、赤城神社やほぼ日が運営する「ほぼの駅 AKAGI」など周辺スポットを巡り、夜には群馬県知事も参加する焚き火の時間を体験した。そこで感じたのは、キャンプ場という一つの施設にとどまらず、赤城という地域全体の魅力を伝えようとする姿勢だった。

自然に溶け込む「スノーピーク」らしい洗練された空間

“ランドステーション 赤城”に足を踏み入れると、ウッドを基調とした幾何学的なデザインと、天井高を生かした開放的な空間が目を引く。ミニマルで洗練された建築は、「スノーピーク」らしい美意識を感じさせる。旧ビジターセンターを再整備した建物は、成瀬・猪熊建築設計事務所が設計を担当しストアやカフェ、観光案内所などを備え、赤城山を巡るための拠点として生まれ変わった。
ストアにはテントや焚火台などのキャンプギアをはじめ、タウンユースにも適したアパレル、店舗限定アイテム、食品や消耗品までが整然と並ぶ。「スノーピーク」のギアはコロナ禍でのキャンプブームで爆発的に人気を博した。シーンが落ち着いた今も人気は高いが、今後の拡大を目指し現在はアパレルの強化にも取り組んでいる。この空間で見るウエアは、「今日のキャンプで着たい」と思わせる商品陳列にも成功していると感じた。

併設の「ヒュッテ ハヤシ カフェ」では、地元のブランド豚“福豚”を使ったホットドッグやドリア、スイーツ、ドリンクなどを提供。アウトドア用品を買いそろえるだけでなく、地域の食を楽しみながら一息つける場所にもなっている。キャンプの準備やチェックインを済ませるだけの施設ではなく、赤城山での過ごし方を考え、次の目的地へと向かうための案内所として機能している点が印象的だ。他には、群馬県内や周辺地域の産品も取り扱い、地域の魅力を伝える売り場づくりにも取り組んでいる。

原生林に囲まれ、自然と向き合うキャンプ

実際に宿泊した“赤城 キャンプフィールド”は、赤城山の豊かな自然に囲まれた場所にある。背の高い木々がサイトを囲み、自然の景観を大きく損なわない環境が保たれている。開けたキャンプ場で仲間とにぎやかに過ごすのも楽しいが、木々に囲まれたこの場所では、自然の中に身を置いている感覚をより強く味わえる。山の新鮮な空気と山鳴りを感じられる空間で、じっくりとキャンプに取り組むことは、贅沢なひとときであると感じられた。

サイトはソロからグループまで、利用人数やスタイルに応じて選べる。テント泊に抵抗がある人には木製トレーラーハウス「住箱(じゅうばこ)」を利用できるサイトがあり、愛犬と一緒に過ごせるドッグランサイトも用意されている。トイレや炊事場などの設備も清潔に保たれ、キャンプ初心者や女性にとっても利用しやすい環境だ。

キャンプの醍醐味は、自然の中で過ごす時間そのものにある。快適さを確保しながら、周囲の木々や空気、季節の移ろいを感じられる。赤城山の自然を楽しむための拠点として、幅広いキャンパーに開かれたフィールドといえる。

赤城神社から「ほぼの駅 AKAGI」へ
地域を巡ることで見えるもの

今回の取材では、キャンプフィールドとランドステーションだけでなく、赤城神社や、ほぼ日が運営する「ほぼの駅 AKAGI」にも足を運んだ。赤城神社は、大沼の湖畔にたたずむ神社。山や湖の自然と、地域で受け継がれてきた信仰や文化に触れられる場所だ。また、「ほぼの駅 AKAGI」は赤城山の鳥居峠に位置し、飲食などを通じて山を訪れる人を迎えている。

通常、キャンプではキャンプ場の中で時間を過ごし、その地域そのものに思いを巡らせる機会は意外と少ない。しかし、赤城山には湖や森、神社、地域に根差した施設など、訪れる理由となる場所が点在している。キャンプを起点に周辺を巡ることで、その土地の魅力をより立体的に感じられるのだ。
ランドステーションが目指すのも、こうした地域の魅力を来訪者に伝え、赤城山を巡るきっかけを生み出すことだろう。自社のキャンプフィールドだけで滞在を完結させるのではなく、周辺の施設や観光資源にも目を向けてもらう。キャンプを入り口に地域全体を楽しむという考え方が、この場所の特徴になっている。

焚き火を囲み、地域の未来を語る

夜には焚き火を囲む時間が設けられ、山本太一群馬県知事も参加した。集まったのは、東京から訪れたメディア関係者ら。知事は、赤城山の美しさを大切にするこの場所の魅力を、在京メディアを通じて全国に伝えてほしいと語り、弾き語りを披露した。焚き火を囲むと、不思議と人との距離が縮まる。初対面の相手とも自然に会話が弾み、肩書や立場を越えて同じ時間を共有できる。施設の完成を祝う式典や会議とは異なり、火を囲んで語り合うことで、その土地の魅力や未来について考える時間が生まれる。

翌日にはランドステーションの竣工式も行われた。施設の完成は一つの節目だが、ここから赤城山の魅力をどう発信し、人の流れを生み出していくかが本当のスタートになる。今回の体験を通じて感じたのは、「スノーピーク」が自然の中で事業を展開するブランドとして、自然や地域に生かされているという認識を大切にしていることだ。キャンプ場を運営するだけでなく、地域の自然や文化、人々の営みに敬意を払いながら、訪れる人と地域をつなぐ。キャンプを楽しむことが、その土地を知り、好きになるきっかけになる。そんな循環が育っていけば、キャンプ場の役割も変わっていくはずだ。赤城山の自然を楽しみながら、地域を巡る旅を計画してみてはいかがだろうか。

施設概要

■スノーピーク ランドステーション 赤城
住所:群馬県前橋市富士見町赤城山33-1
電話:027-212-8335(観光案内・カフェ)
営業時間:9:00〜18:00(12〜3月は9:00〜17:00)
定休日:水曜日

■スノーピーク 赤城 キャンプフィールド
住所:群馬県前橋市富士見町赤城山1-22
電話:027-289-0818
営業時間:9:00〜18:00(12〜3月は9:00〜17:00)
定休日:水曜日(大型連休などを除く)
利用方法:宿泊・デイキャンプともに事前予約制

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