ファッション

TikTok Shop、日本上陸1周年 ライブ経由GMV約6割の高止まりは「想定外」

動画共有プラットフォーム 「TikTok」を運営するバイトダンスは27日、「TikTok」にEC機能を統合した「TikTok Shop」の日本でのサービス提供開始から1周年を迎え、報道関係者向け説明会を開いた。TikTokの国内月間アクティブユーザー数(MAU)は4950万人(2025年4月〜26年3月の平均値)で、国内のスマートフォン利用者の約2人に1人が利用する。TikTok Shopの26年6月の月間利用者数は、25年7月比で30倍超に拡大した。

GMV(流通総額)の70%以上はショート動画やライブ配信などのコンテンツ経由で生まれており、その内訳はショート動画が約4割、ライブ配信が約6割。利用者の約6割を35歳以上が占め、幅広い世代への浸透が進んでいる。

邱開洲TikTok Shop Japanゼネラルマネージャー執行役員は、「日本のユーザーは商品の詳細やレビューを丁寧に確認し、納得してから購入する傾向が強い。メリットだけでなくデメリットも伝える誠実なレビューや、ライブ配信で細かな質問に答えることが信頼につながる」と話した。

ライブ経由GMV約6割
想定を上回る定着

ライブ配信経由のGMV比率が、サービス開始から約1年を経ても約6割を維持していることについて、同社は「想定外だった」と振り返る。当初はライブ配信の運営負荷の高さから、サービス開始直後に比率が高まった後はいったん低下し、運営体制の整備とともに再び伸びると予想していた。しかし、日本ではセラー(出店事業者)とクリエイター(コンテンツ制作者)の双方によるコンテンツ供給が想定以上のスピードで進み、ライブコマースの仕組みが早期に形成されたという。

米国市場ではショート動画がTikTok Shopの主要な成長ドライバーとされる一方、日本ではライブ配信がGMVの約6割を占める。オルテガ・ディレクターは「月1回のライブではイベントで終わってしまう」と述べ、商品のスペックを並べるだけでなく、開発背景や使用シーンを継続的に発信し、視聴者の疑問にその場で答えることが成果につながると説明した。

ビューティはスキンケア首位
ファッションも成果が拡大

カテゴリー別では、ビューティのGMV上位はスキンケア、メイクアップ、ヘアケア・スタイリングの順だった。一方、成長率ではメイクアップとフレグランスが高く、今後の成長をけん引するカテゴリーと位置付ける。ファッションのGMV上位はレディスファッション、スポーツ・アウトドア、メンズファッションの順。成長率ではスポーツ・アウトドアが最も高く、レディスファッション、バッグ・スーツケースが続いた。

ビューティの事例として、「ケイト(KATE)」は週5回以上の自社ライブを実施しながら約100人のクリエイターと連携。月間で自社ライブ約100時間、クリエイターによるライブ約280時間、クリエイター動画300本超を配信するなど、ショート動画とライブ配信を組み合わせた運営を進めている。

ファッションでは、「ギャップ(GAP)」が店舗スタッフをTikTok Shopのクリエイターとして起用する仕組みを構築。接客やコーディネートの知識を生かしたショート動画を大量に配信し、認知から購買への転換につなげている。同ブランドは、米国で成果を上げたモデルを日本にも導入し、26年4月にセラーアカウントを開設。売り上げ規模は初月比で約200倍に拡大し、ファッションカテゴリーのトップセラーの一つとなった。

クロックス(CROCS)」は、チャームでカスタマイズする店舗体験をライブ配信上で再現。朝と夜に時間を固定した自社ライブを毎月30回超、計95時間超実施し、商品の組み合わせを提案しながら視聴者の質問に回答する接客型ライブを展開した。その結果、GMVを初月比で40倍以上、注文SKU数を18倍に伸ばした。

GMVが大きいセラーほど
アフィリエイト動画を活用

売り上げ規模が大きいセラーほど、動画経由の売り上げの9割超が、自社が投稿した動画ではなく、クリエイターが制作したアフィリエイト動画から生まれており、クリエイターとの協業が成長のカギになっているという。

邱ゼネラルマネージャー執行役員は、「GMVが大きくなるほど、自社だけではコンテンツの供給が追い付かない」と説明する。TikTok Shopへの参入以前は、多くのブランドがPGC(Professional Generated Content=企業制作コンテンツ)を中心に制作し、「2カ月に1本程度しか動画を制作しないブランドも少なくなかった」という。一方、UGC(User Generated Content=ユーザー生成コンテンツ)の活用には十分慣れていなかった。

TikTok Shopでは、クリエイターによるアフィリエイト動画を数多く生み出すことでコンテンツの供給量を拡大。多様な視点による商品レビューが増えることで消費者の信頼につながり、GMVの拡大を後押ししているという。ライブ配信でも役割を分ける。自社ライブは店舗スタッフなどによる継続的な接客や商品説明を担い、クリエイターによるライブは新商品発売や大型キャンペーン時に認知を一気に広げる役割を果たす。

システム連携に課題も
中古品販売など新領域も開拓

セラー数は非公表としたものの、同社は「日本のECマーケットプレイスの歴史と比較しても、参入スピードは非常に速い。欧米市場と比べても高い水準にある」と説明した。

今後の課題には、事業者ごとに異なる受注・在庫管理システムとの連携を挙げた。大手セラーでは受注から在庫、配送までを独自のロジスティクスシステムで管理しているケースも多く、TikTok Shopとの接続には個別対応が必要になるという。より多くの事業者が円滑に参入できるよう、システム連携を進めていく。また、クリエイターによる商品紹介の品質向上や、ユーザーが安心して購入できる環境整備にも取り組む。

今後の成長戦略では、ライブオークションや中古品など、新たな販売領域の開拓を掲げた。邱ゼネラルマネージャー執行役員は、日本の中古品市場は品質への信頼が高く、ライブ配信を通じて商品の状態や希少性をリアルタイムで伝えられる点に可能性があるとの見方を示した。一方、中古品販売の開始時期や対象カテゴリーなどの具体的な計画は明らかにしていない。

また、中小事業者向け支援プログラム「ソアー・トゥギャザー(SOAR Together)」を開始する。グローバルで実施しているCSRプログラムで、8月ごろから約30社を募集し、秋から約6カ月間実施する。認定NPO法人ETIC.と連携し、TikTok Shopの活用に加え、デジタルマーケティングやEC運営、ライブコマースなどを包括的に支援する。

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