渋谷の喧騒を少し離れたオフィス街。その一角に、ひっそりと佇む“隠れ家”的なビンテージショップがある。それは、人気スタイリストの濱本愛弓さんが足しげく通う「フックド(HOOKED)」だ。
メンズが主導してきた東京のビンテージカルチャーは、今ウィメンズ領域でも大きな広がりを見せている。トレンドの移り変わりが激しい時代だからこそ、「人と被らない個性」や「時代を超えて愛せる服」を求める女性たちが増えている。
本連載「東京ビンテージショップガイド for GIRL'S」では、スタイリストやバイヤー、モデル、フォトグラファー、エディターなど、“ビンテージラバーズ”な業界⼈にフォーカスし、東京都内にひしめくビンテージショップを紹介。毎回ゲストを招き、彼女たちがリアルに通う信頼できる古着屋や気になっていた古着屋を巡りながら、ビンテージの楽しみ方を紐解いていく。
記念すべき第1回目のゲストは、エッジの効いたスタイリングで数多くのメディアや広告を手掛けるスタイリストの濱本さんが登場。彼女が「来るといつも必ず何か買って帰ってしまう」と語る、「フックド」の魅力とは?
ビンテージショップ「フックド」とは?
2017年にオープンした「フックド」は、東京・中目黒の名店「ジャンティーク(JANTIQUES)」で長年バイヤーを務めていた安藤公祐・小葉夫妻が手掛けるビンテージショップだ。現在は、妻の小葉さんが古着を、夫の公祐さんがビンテージインテリアのバイイングを担当。数カ月に一度、アメリカやヨーロッパの現地へ直接足を運んで行う買い付けは、それぞれの審美眼でセレクトしている。
店内に一歩足を踏み入れると、ジャンルが入り混じった古着が並ぶ。いわゆる“アーカイブ”と呼ばれる年代物のレアビンテージから、現代のワードローブに溶け込むデイリーなレギュラー古着まで、そのラインアップは実に多彩だ。顧客に刺さる商品はもちろん、業界のクリエイターたちの源泉となるアイテムも展開。「その時々でビビッときたものだけを厳選しているため、結果として多様なテイストのアイテムがそろう空間になっている」と小葉オーナーは語る。
同店の目玉について尋ねると、小葉オーナーは「豊富なラインアップのレザーアイテム」を挙げた。定番のレザージャケットだけでなく、レザーパンツやレザースカート、ベストなど、バリエーションは多岐にわたる。状態の良さや、現代でも取り入れやすいシルエットにこだわったセレクトからは、長年ビンテージと向き合ってきた小葉オーナーならではの美意識がうかがえる。
専門の技術者によるリペアサービスも
また、「フックド」の魅力は品ぞろえだけではない。古着を購入する上で多くの人が不安を抱く「サイズ感」や「コンディション」の課題に対し、専門の技術者によるリペアサービスを提供している。店内で購入した商品の裾上げや、古着特有のダメージ補修などに柔軟に対応。さらに、他店で購入したアイテムの持ち込みも受け付けているという。
客層は20代後半〜40代のファッション感度の高い女性が中心だが、近年はカップルや外国人観光客の来店も増加しているという。「メンズビンテージの取り扱いはそう多くはないのですが、タイミングによっては厳選された珍しいアイテムに出合えるラッキーなタイミングもあります」と、性別や国籍、世代問わず楽しめる店内を意識しているそうだ。
濱本愛弓が語る「フックド」の魅力
濱本さんと安藤夫妻の付き合いは、「ジャンティーク」時代にまでさかのぼる。「フックド」のオープン当初から通い続けている濱本さんは、同店に惹かれる理由を「セレクトのセンスはもちろん、小葉さんの細やかな気遣いがあるから」と明かす。
取材当日、濱本さんはプライベートで購入したという私物のレザーベストを着用して現れた。マニッシュなレザーをフリルトップスと合わせ、彼女らしくモダンに落とし込んだスタイリングが印象的だ。「とにかく状態がよくて、トレンドに左右されず、タイムレスに着用できるクオリティーだったことが購入の決め手」と、プロの目から見ても仕入れの状態の良さが伺える。
濱本さんは、ビンテージショップの重要性をこう語る。「異なる時代やテイストの服が一堂に集まっているのが、ビンテージショップの面白さ。自分に似合うものを探す、“宝箱”みたいな場所だと思うんです。まだ知らなかった新しい自分に出会えるきっかけにもなるので」。
そんな濱本さんがショップツアー中に目を留めたのは、VネックのボーダーTシャツ(1万3200円)だ。「普段、あまりボーダー柄のアイテムは選ばないのですが、この深めのVネックの開き具合や、絶妙にルーズなサイズ感はなかなか珍しい。カジュアルなトップスだからこそ、あえてパールのネックレスや、存在感のあるゴールドのジュエリーを重ねづけして、クラス感をプラスしたスタイリングを楽しみたいです」とスタイリストならではの解説を加え、実際にその場で購入を決定していた。
「フックド」のアイテムで即興コーデを披露
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ショップツアーの締めくくりとして、濱本さんが店内のアイテムだけを使ったスタイリングを提案してくれた。核となるのは、本人が購入したボーダーTシャツ(1万3200円)。インナーにはアクセントとなるパステルグリーンのシェイプウエア(2万2000円)を重ね、メンズライクなデニムブルゾン(5万5000円)を羽織った。
ボトムスにはブラウンのレザーパンツを合わせ、足元はフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)が手掛けていた頃の「セリーヌ(CELINE)」のヒールサンダル(13万2000円)で全体をシャープに引き締めている。カジュアルなデニム、強さがにじむレザー、女性らしいヒールサンダルという異なる要素のコントラストが、濱本さんらしいエッジの効いたモダンなビンテージ・ミックスを体現している。
濱本さんのスタイリングプロセスの詳細や、小葉オーナーとの掛け合いの様子は、「WWDJAPAN」公式YouTubeチャンネルの動画で詳しく配信している。
店舗詳細
■ビンテージショップ「フックド」
住所:東京都渋谷区渋谷2-12-6
時間:12:00〜19:00
定休日:日曜日
※記事中の商品についての問い合わせは、店舗に直接ご連絡ください。