ビジネス

免税ブレーキの大丸松坂屋百貨店、浮上のヒントは好調パルコにあり

円高基調により、百貨店のインバウンド消費にブレーキがかかっている。J.フロント リテイリング(JFR)は、傘下の大丸松坂屋百貨店の免税売上高が落ち込んでいるが、対照的に免税売上高を大きく伸ばすパルコのエッセンスを取り入れ、巻き返しを図る。

25年3〜8月期の大丸松坂屋百貨店の免税売上高は、前年同期比22.3%減の469億円だった。店舗別の免税売上高は、大丸心斎橋店が同16.3%減の214億円、京都店が同31.6%減の43億円、札幌店が同32.0%減の13億円、神戸店が同19.8%減の25億円、松坂屋名古屋店が同27.5%減の55億円と、都市部を中心に軒並み2ケタ減となった。

一方、パルコの免税取扱高は同22%増と好調だ。店舗別では、渋谷が同18.2%増、心斎橋が同26.4%増、札幌が同32.7%増、名古屋が同28.1%増、池袋が同19.8%増、福岡が同31.4%増と、いずれの店舗でも2ケタ伸長した。

ラグジュアリーブランドの購買が支えていた百貨店は円高で訪日客の「お得感」が薄れた一方、パルコはマンガやアニメなどIPコンテンツ、カルチャー、アートなどを絡めた体験価値のある提案で、熱心な訪日外国人を呼び込み続けている。店舗の立地特性を踏まえた独自性のある売り場・MD構成やイベント戦略は、国内の若い世代も取り込む。

“Where”から“What”へ

JFRの小野圭一社長は、パルコの好調要因を百貨店事業にも波及させる方針を打ち出す。「私たちは大丸松坂屋という百貨店“だけ”のグループではない。パルコをはじめ、その他の事業も含めてグループ全体で新しい成長の道筋を描いていく」と語り、「その一つが、“コンテンツを自分たちで作る”という戦略。これまでは(優良な立地や店舗)など“Where”(売る場所)を起点に事業を組み立ててきたが、これからは“What”(何を売るか、どんな体験を提供するか)が軸になる」と続けた。

名古屋・栄で2026年初夏に開業予定の高級モール「ハエラ(HAERA)」はファッション、カルチャー、アートの融合をコンセプトに掲げ、まさにこの方針を象徴する施設となる。自社で生み出したコンテンツは、海外やデジタル領域にも展開していく構想だ。

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