ファッション

「プラダ」2026年春夏は過剰な時代にフリュイド、流動的であることの強さを示す

「プラダ(PRADA)」の2026年春夏のテーマは、「ボディー・オブ・コンポジション(Body of Composition)」。ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)は、服を構成する要素を見つめ、解体することで、人々の自主性と自由のあり方を提示した。

数年前からトレンドキーワードとして浮上する、ロゴや装飾を削ぎ落とした”クワイエット・ラグジュアリー”の潮流の背後には、過剰なまでにモノや情報があふれる世の中で、人々のよりシンプルに生きたいという思いがある。今季の「プラダ」は、装飾を削ぎ落とすだけではなく、洋服の構造を解体しながらシルエットそのものを流動的にすることで、過剰な世界からの人々の解放を訴えた。

ショーは、ブランドのクリエイションの基盤であるミリタリーユニフォームでスタート。続くルックはそこに、ロンググローブを合わせて「ワーク」に「ドレス」の要素を交差させた。ユニフォームとは、社会における個人の役割を示すもの。それは労働着でもあり、イブニングウエアでもあるという、記号に対してフリュイド(流動的)な態度を示す。ワークシャツのディテールを残したドレスとロンググローブの合わせは、フェミニンでもあり、プロテクションの意味も持ち合わせる。

大胆な配色もまた、そのメッセージを補強する。均質さの象徴であるワークシャツはあえてフューシャピンクに、ビジューで縁取られたベストはカーキに。装飾と実用の役割を入れ替えることで、色そのものを構成の一部として読み替えている。

さまざまな生地をつぎはぎしたようなパッチワークスカートのウエストはリボンで縛り、残布を巻きつけただけのようなブラトップと合わせる。深いVネックのニットトップや、肩から吊り下げたサスペンダースカートも、シルエットを形作ることを拒む。

一つの着方に縛られず、さまざまに重ねられる服は、時代に対する態度そのものでもある。「プラダ」が示したのは、本質を見極め、柔軟であり続けることこそが、今を生きる強さなのだというメッセージだろう。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

Is AI GOOD?AIがもたらす「ゲームチェンジ」

「WWDJAPAN」12月1日号は、ファッション&ビューティ業界でいよいよ本格化する“AIゲームチェンジ“を総力特集しました。11月19日のグーグル「ジェミニ3.0」発表を契機に、生成AIは「便利なツール」から「産業の前提インフラ」へ変貌しつつあります。ファッション&ビューティ業界で浸透する生成AI及びAIの活用法とゲームチェンジに向けた取り組みを紹介しています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。