「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」は現地時間10日(日本時間11日)、2026年春夏コレクションをニューヨークで発表した。デザイナーが慕情を寄せるハンプトン・リゾートを舞台にリラクシーで艶やかな世界を描いた前春夏のムードを引き継ぎながらも、今季はテーラリングにさらに軸足を寄せ、女性の芯の強さとセンシュアリティーを際立たせた。
会場はマディソン650番地の本社スペース。白い壁、カーブした階段、黒い床、籐のシャンデリア——シンプルな設えが、服そのものを際立たせる空間だ。ファーストルックは、黒のブラトップにしなやかに揺れる白のロングジャケットを羽織り、手にはシグニチャーバッグ“ザ・ラルフ”。硬と柔、抑制と解放といった相反要素を凝縮し、今季を象徴する幕開けとなった。
肩を落として素肌を見せたり
ウエストにネクタイを結んだり
豊作だったのはシャツスタイルだ。昨今の暑さから、春夏を通じて主役アイテムとなりつつあるシャツは、単に肌を覆う布から、「肌を引き立てる」仕掛けへ。オーバーサイズのビブフロントシャツにブラックのパンツを合わせ、ウエストにストライプのネクタイを結ぶ。胸元をざっくり開けてブラをのぞかせたり、肩を片方落として素肌を見せたり。襟元にフェミニンな大ぶりのボウをあしらったチュニックがあれば、マニッシュなサファリシャツも。パンツは腰から流れるようにテーパードするペダルプッシャーや、大きなクッションを作るワイド&ロングシルエットで、クラシックとモダン、フェミニンとマスキュリンを自在に往来。柔らかな表情でゆったりと闊歩するモデルたちからは、内側からにじみ出る心地よさと自信を感じさせた。
ブラック&ホワイトを基調としたテーラードの流れに、ドラマをもたらしたのはドレス。コルセット仕立ての情熱的なレッドのコットンサテンドレス、プリーツのロングスカートにレイヤードした構築的なブラックのAラインミニドレス、40年代を思わせるオーバーサイズのフローラルパターンが登場した。
そしてコレクションを支えていたのはクラフトだ。彫刻的なシルバージュエリーをはじめ、まつ毛ほどの細さのレザーで刺繍を施したリネンのスカートスーツ、羊皮紙から着想した超軽量のクリスプスーツ、ストレッチレザーのラッフル付きビスチェなど。小物では、大ぶりなラフィアハットやハンドバッグ、エスパドリーユのサンダルが旅情を添えた。
前春夏のリラクシー&エフォートレスな空気を継承しながらも、より強さをにじませた今季のショー。ハンプトンの雄大な自然とニューヨークの都市の空気が交錯し、「ラルフ ローレン」らしい新たな女性像を描き出した。