クロキは、LVMHメティエダールの提携先として1番目に発表された日本企業だ。岡山県井原市に本社を置き、世界中に多彩なデニム生地を供給する。巧みな経営手腕で経営の舵取りを行う黒木立志社長の経営哲学とは?(この記事は「WWDJAPAN」2025年8月25日号からの抜粋です)
PROFILE:
クロキ(KUROKI)
1950年に前身の黒木織布を創業。70年代にデニム生地の製造販売を本格的に開始。96年にロープ染色設備を導入。デニム生地の一貫生産体制を構築。シャトルから大型織機(スルーザー)まで幅広いバリエーションを有し、年間約500品番のデニム生地を生産・販売
海外売り上げ比率は6割
多彩な500品番が世界を魅了
岡山県井原市のデニム生地メーカー、クロキの名を日本のファッション関係者に一躍知らしめたのは、2023年のLVMHメティエダールとの提携だろう。ただ、クロキは04年からパリの素材見本市「プルミエール・ヴィジョン」に出展しており、欧州や米国の有力ブランドにデニム生地を供給する、世界のジーンズ関係者の間ではよく知られた企業だった。黒木立志社長は「00年代初頭のプレミアムジーンズ全盛期に米国に、04年からはプルミエール・ヴィジョンを通じて欧州市場に進出した」。それまでは日本市場をターゲットにしていたが、海外販路は意外なほどすんなり立ち上がったという。「デニム市場は市況の波が激しく、売れる年と売れない年の差が激しい。そうした落差をできるだけ少なくしようと、あれもこれもと開発していたら年間500品番を生産するようになっていた」。クロキのデニム生地はマニアをうならせるマニアックなセルビッジから、カシミヤなどの高級獣毛を使った上質なデニム、大型のスルーザー織機で通常の2倍の幅で織り上げるコストパフォーマンスの高いコンテンポラリーな生地まで、かなり幅広い。同社は500品番の大半をストックし、小ロットでも販売していたため、海外企業でも取引しやすく、販路は瞬く間に広がった。現在では売上高の6割が海外だ。
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