PROFILE: レティシア・コーエン・スカリ/「レッドライン」デザイナー

フランス発ジュエリー「レッドライン(RED LINE)」が今年、誕生20周年を迎えた。同ブランドは、パリでレティシア・コーエン・スカリが創業。日常的に誰もが着けられるダイヤモンドをコンセプトに、ユニークなジュエリーを提案している。ダイヤモンドジュエリーというと、通常プラチナや18金を組み合わせたものが主流で価格も高い。スカリは、世界各地でお守りなどして着用される糸に着目。ダイヤモンドと組み合わせたジュエリーを開発したところ、パリのセレクトショップの「コレット(COLETTE)」や百貨店からオーダーが入り起業した。日本では、アッシュ・ペー・フランス(以下、HP)がブランド誕生時から輸入販売している。来日したスカリに話を聞いた。
「HPは創業時からずっと販売している取引先。彼らは今年創業40周年、『レッドライン』は20周年。お互いのアニバーサリーを祝うために来日した」とスカリは話す。生粋のパリっ子であるスカリ。大学で経済学を学んだが、クリエイションしたいという強い思いがあり、アート関連の専門学校に入った。その卒業プロジェクトとして発表したのが「レッドライン」だ。スカリは、「“ポルト・ボナール(幸運のお守り)をコンセプトに永遠を象徴するダイヤモンドを民主化したいと考えた。誰もが手に入れられるダイヤモンドジュエリーを作りたかった」と話す。
「コレット」に認められた卒業プロジェクト
彼女は当時、多くのセレブリティーが手首に着用していた糸から着想を得る。ずっと手首に巻いているため、糸はボロボロ。それでも、皆がお守り代わりに着けていた。スカリは、「糸は、ミサンガやエルサレムの赤い紐など、さまざまな国や文化において意味を持つ。だから、ジュエリーに糸を使用したいと思った」と話す。彼女が思い描いたのは、ダイヤモンドとボロボロにならず、切れない糸を組み合わせたコードジュエリーだ。そしてジュエリーを制作し、当時人気だった「コレット」に持参すると、すぐにオーダーが入った。ギャラリー・ラファイエットなどの百貨店からも取り引きしたいと声が上がった。
生産のアイデアがなかった彼女は母親に相談。自営業をしていた母親は、切れない糸を探しだし、ダイヤモンドと組み合わせてジュエリーにする職人を見つけた。その後、セレクトショップや百貨店などから次々とオーダーが入り、デザインはスカリ自身が手掛け、ビジネスの運営は母親、弟が営業というファミリービジネスがスタート。スカリは、「子どもの頃は、自営業は嫌だと思っていた。自然な流れで始まったファミリービジネスだが、家族ゆえの信頼や強い絆でブランドを運営している」と話す。
誰もが手に入れられる“幸運のお守り”
ベストセラーの一つは“イリュージョン”で、7粒のメレダイヤモンドを、まるで一粒のダイヤのようにセッティングしたチャーム付き。ゴールドチェーンとカラーコードで0.1ctのダイヤモンドを挟んだ“ピュアダブル”も人気だ。20周年を記念し、チャームの両サイドで糸の色が違う“ピコロール”が登場した。ブレスレットの価格帯は10万〜20万円程度。「性別や年齢を選ばない。新生児からお年寄りまでがつけられるジュエリー。予算がなくても買えるし、遊びの感覚で富裕層が購入することもある」。繊細でありながらもタフな「レッドライン」は、肌身離さず着けられる日常的なお守りジュエリーとして世界中で広がっている。