米大手化粧品小売店アルタビューティ(ULTA BEAUTY)の最高経営責任者(CEO)に1月に就任したケシア・スティールマン(Kecia Steelman)は、新成長戦略“アルタ・ビューティ・アンリーシュド(ULTA BEAUTY UNLEASHED)”を発表するなど、同社の改革に精力的に取り組んでいる。迅速で戦略的な意思決定力と思慮深さから、同氏を評価する業界からの声も多い。
現在アマゾン(AMAZON)や「セフォラ(SEPHORA)」といった競合とのかつてないほど熾烈な競争に直面しているアルタビューティは、昨年初めてマーケットシェアを落とした。第4四半期の売上高は前年同期比1.9%減の35億ドル(約5005億円)で、2025年の業績見通しも予想を下回った。だがこうした状況でもスティールマンCEOは、同社の成長を活性化させる新戦略に自信を見せる。
新たな最高マーケティング責任者(CMO)の任命を含む経営幹部の抜本的な刷新をはじめ、今年後半には初の海外展開としてグローバル・ブランド・オペレーター企業アクソ(AXO)との合弁事業を通じたメキシコへの進出と、その後クウェートを拠点とするアルシャヤ・グループ(ALSHAYA GROUP)とのライセンス契約を通じた中東への進出も控える。また、独自のサードパーティEC「アルタビューティ マーケットプレイス(ULTA BEAUTY MARKETPLACE)」の立ち上げや、米大手小売ターゲット(TARGET)との提携更新の交渉も進めている。
1990年代にターゲットでオペレーション業務に携わり、その後ホームセンター大手のホームデポ(HOME DEPOT)、1ドルショップの「ファミリー・ダラー(FAMILY DOLLAR)」で要職を歴任したスティールマンCEOにとって、小売業は骨の髄まで染み付いている。こうした経験からも、現場のスタッフが戦略の大きな鍵になると考え、店舗に足を運ぶことを最も重要視しているという。「私は必ず店舗に立ち寄り、店舗やチームの状況を確認する。どこにチャンスがあり、どこを改善すべきか、答えは店頭にあると常々言っている」と語るスティールマンCEOがこれまで歩んできたキャリアや、同氏が見据える成長戦略について、米「WWD」が聞いた。
新CEOは店舗経験が豊富なベテラン
WWD:豊富な店舗経験を積んできたが、現在の考え方にどのような影響を与えているのか?
スティールマンCEO(以下、スティールマン):小売業の最前線で長く働いていると、消費者や顧客エンゲージメントの本質を理解できるだけでなく、店舗のスタッフの動きについても深く知ることになる。また私は店舗だけでなく、本社でさまざまなレベルのリーダーを経験できたことも幸運だった。企業のために従業員一人一人が果たしている役割を真に理解することができ、CEOとして素晴らしい訓練の場になった。
WWD:キャリアのスタートにオペレーション部門を選んだ理由は?
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。
