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米ランニングシューズ「サッカニー」が日本初の直営店開業 丸紅CBと新体制で“リポジショニング”

グローバルでのランニング市場拡大を追い風に、国内でもランニング関連ショップの出店が止まらない。2月8日に、米VFコーポレーション傘下の米ユタ発のランニング&ハイクシューズ「アルトラ(ALTRA)」が、銀座の歌舞伎座そばに世界初の直営店を出店。2月22日〜3月2日には、国内では伊藤忠商事×アキレス体制で販売する米シアトル発のランニングシューズ「ブルックス(BROOKS)」が日本初のポップアップストアを開いた。3月15日には、「ニューバランス(NEW BALANCE)」も国内初のランニングのコンセプトストアを代々木公園内にオープンすると発表している。

そうした出店の話題の一角を占めるのが、米ウルヴァリンワールドワイド傘下の老舗ランニングシューズブランド「サッカニー(SAUCONY)」だ。これまで、日本では長らくABCマートが代理店を務めてきたが、2024年に丸紅コンシューマーブランズ(以下、丸紅CB)がウルヴァリンと契約、同ブランドの代理店となった。ABCマートが扱っていたこともあり、従来はライフスタイルシューズのイメージが強かったが、丸紅CBは速さを求めるランナーに応えるパフォーマンスシューズとしての打ち出しを強化。東京マラソン(3月2日実施済み)直前である2月27日には、日本初の直営店舗を東京・原宿の明治通り沿いにオープンした。

「われわれは127年の歴史がある専業メーカー」

「サッカニー」の日本初店舗が出店したのは、以前「サロモン(SALOMON)」の渋谷店だった場所(『サロモン』は24年11月に通りを挟んだ向かいに移転増床済み)。1階、地下1階の2層の作りで、売り場面積は約170平方メートル。1階にはレーシングシューズの最高峰モデル“エンドルフィン エリート2(ENDORPHIN ELITE 2)”(4万2900円)をはじめとしたパフォーマンスシューズを並べ、地下1階にはライフスタイルシューズをそろえる。

「いま、ランニングシューズメーカー各社が技術革新を重ね、次々と新製品を発表する環境にあることはありがたい。それがあるからわれわれもさらに努力することができる。われわれは、創業127年という歴史あるランニングシューズ専業ブランドというオーセンティックな存在であり、創業時からイノベーション(革新性)を重視してきた」と話すのは、出店に合わせて来日したロブ・グリフィス(Rob Griffiths)サッカニーグローバルブランドプレジデント。「1年半ほど前から、米本国とグローバルとでブランドのリポジショニングを進めている」という。

リポジショニングとしては例えば、クッション性、反発性といった、ランナーが利点と感じる機能性を打ち出す商品コミュニケーションの採用や、主力販路として重視する卸先の再編などを実施してきた。ブランドを拡大していくためには、パフォーマンスと共にライフスタイル領域での認知向上も欠かせないが、「“ワン サッカニー”として、パフォーマンスとライフスタイルとで別のイメージにならないようにアプローチしていく。熱量を高め、ブランド認知を上げていくために、コラボレーションもどんどん企画していく」とグリフィスプレジデント。

6月にはロンドンにも出店予定

国やエリアごとにパートナー企業がいることで、本国のディレクションをそのまま反映することが難しかった面もこれまであったようだ。それをリポジショニングによって、“ワン サッカニー”にまとめていく過程にある。東京に次いで、6月には「ロンドンの中でランニングが盛り上がっているエリア」というコベントガーデンへの直営店出店も決定。「その後は、パリ、ニューヨークなど、世界の主要都市に出店を考える」。米国や欧州では、「ランニングクラブにアプローチする草の根活動によってブランドの支持を広げてきた。こうした手法を日本でも取り入れたい」とグリフィスプレジデント。

「直営店のオープン初日は販売予算も達成し、好調な滑り出しとなった」と話すのは、高原秀人 丸紅CB社長。2月27日〜3月1日に開催された「東京マラソンEXPO」にも出展し、“エンドルフィン エリート2”や日本らしい絞り染め風のデザインを取り入れた東京マラソン限定モデルの“キンバラ15(KINVARA 15)”(1万9250円)などを販売した。「ウルヴァリンと協力し、パフォーマンスシューズを販売する売り場作りやマーケティングに注力していく。数年後には、箱根駅伝で履く選手が出ることが目標」と続ける。

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