米ブランド管理会社ブルースター・アライアンス(BLUESTAR ALLIANCE)は2月11日、ラグジュアリー・ストリートウエアブランド「パーム エンジェルス(PALM ANGELS)」をニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP以下、NGG)から買収したことを発表した。取引金額は非公開。なお、フランチェスコ・ラガッツィ(Francesco Ragazzi)「パーム エンジェルス」創業者兼クリエイティブ・ディレクターは、これを機にブランドを離れるという。
ラガッツィ創業者の経歴
ラガッツィ創業者は、イタリア・ミラノのヨーロッパ・デザイン学院(IED Istituto Europeo di Design)を卒業。2014年に写真集「パーム エンジェルス」を発表したことをきっかけに、15年にNGGと共に同名のブランドを設立した。なお、写真集の序文はファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)が書いている。また、ラガッツィ創業者は、14年から「モンクレール(MONCLER)」のアート・ディレクターを務め、「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」とも協業している。

ラガッツィ創業者は、「業界のルールを変えるような、10年前には存在しなかったタイプのブランドを立ち上げ、成功させたことを誇らしく思う。『パーム エンジェルス』が新章を迎えるにあたり、私は自信を持ってブランドを離れるとともに、そのさらなる成功を祈っている」と最近のインタビューで語った。
NGGについて
NGGは15年にミラノで設立。「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン(MARCELO BURLON COUNTY OF MILAN)」のマルセロ・ブロン(Marcelo Burlon)創業者と、人気セレクトショップのアントニオーリ(ANTONIOLI)を運営するクラウディオ・アントニオーリ(Claudio Antonioli)、ミラノ発のカジュアルブランド「ヴィンテージ55(VINTAGE 55)」の創業者ダヴィデ・ドゥ・ジーリオの3人が共同出資した。同社は「パーム エンジェルス」のほか、「アンブッシュ(AMBUSH)」「ヘロン・プレストン(HERON PRESTON)」などのブランドを擁するほか、故ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)による「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」(以下、オフ-ホワイト)をライセンス生産している。19年8月には、高級ECのファーフェッチ(FARFETCH)がNGGを6億7500万ドル(約1019億円)で買収。しかし、ファーフェッチは23年12月15日に経営破綻に陥っていることが明らかになり、同18日に韓国の大手EC企業クーパン(COUPANG)によって買収された。
なお、「オフ-ホワイト」の商標権を持つオフ-ホワイト合同会社(OFF-WHITE LLC)は21年、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)に過半数株式を売却。その後、LVMHは24年9月、オフ-ホワイト合同会社をブルースター・アライアンスに売却している。
また、NGGは「リーボック(REEBOK)」を保有する米ブランドマネジメント会社オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)と22年3月に提携し、23年5月には同ブランドの欧州における販売代理店業務などを手掛けるNGG++部門を立ち上げている。しかし、新たな契約条件で合意に至らなかったことから、ABGは24年11月初旬に同契約を終了。同時期に、NGGは日本の民事再生法にあたるイタリア倒産法(Composizione Negoziata della Crisi、CNC)の適用を申請したと海外メディアが報じた。CNCは破産の手続きをするものではなく、NGGは同法の下で債務を整理しつつ事業を継続し、再建を目指すとしている。
ブルースター・アライアンスについて
ブルースター・アライアンスは06年の設立。オフ-ホワイト合同会社に加えて、「べべ(BEBE)」「タハリ(TAHARI)」「ケンジー(KENSIE)」「ハーレー(HURLEY)」などのカジュアルブランドや、ブルックストーン(BROOKSTONE)などの小売チェーンを保有している。