YOONとVERBALが手掛ける「アンブッシュ(AMBUSH)」は4月11日、イタリアのアパレル企業ニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP以下、NGG)から、ブランドの完全な所有権を再取得したと発表した。
同ブランドは2020年、当時「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラン(MARCELO BURLON COUNTY OF MILAN)」や「パーム エンジェルス(PALM ANGELS)」「ヘロン・プレストン(HERON PRESTON)」などのブランドを擁するほか、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」のライセンス生産を手掛けていたNGGに過半数株式を売却し、海外進出などを加速。ところがNGGの親会社である高級ECのファーフェッチ(FARFETCH)は経営破綻に陥り、23年には韓国の大手EC企業クーパン(COUPANG)に身売りした。さらにNGGも、「マルセロ・ブロン カウンティ・オブ・ミラノ」創業者のマルセロ・ブロンがブランドを離れたり、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー」もヴァージル・アブローの死去によりかつての勢いを失っていたりの影響で、24年11月には日本の民事再生法にあたるイタリア倒産法(Composizione Negoziata della Crisi、CNC)の適用を申請。再建を図っている間に「パーム エンジェルス」と「オフ-ホワイト c/o ヴァージル・アブロー」は、経営権が米ブランド管理会社ブルースター・アライアンス(BLUESTAR ALLIANCE)に移り、ミラノ発の高級ニットウエアブランド「アラヌイ(ALANUI)」は2週間ほど前、「アンブッシュ」同様に経営権を取り戻すなど、瓦解が進んでいる。
YOON 共同創設者兼クリエイティブ・ディレクターは「完全なオーナーシップを取り戻したことで、価値観やビジョンを最大限に表現できるようになる。この新たな章と目の前に広がる可能性に、今、大きなエネルギーを感じている」とコメント。VERBAL共同創設者兼最高経営責任者は、「経営権を再び手にすることは重要な節目であり、自由な革新を追求し、グローバルなコミュニティーとのつながりを深めていくための重要な一歩」と述べた。今後はデジタルおよびテクノロジー分野での取り組み強化、そしてファッション、音楽、カルチャーを横断する新たなコラボレーションの推進などにより、世界的な存在感をさらに高めたいとしている。
NGGのHPによると、同社はこのほか「アンラベル プロジェクト(UNRAVEL PROJECT)」「ヘロン プレストン」「キリン ペギー グー(KIRIN PEGGY GOU)」「オープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)」を有しているようだが、ヘロン・プレストンは現在「H&M」のメンズ・デザイン・アドバイザーに注力。米ニューヨーク生まれのセレクトショップ「オープニングセレモニー」は小売店を閉めてオリジナルグッズの開発に注力するとしていたが実現には至っておらず、企業活動はほぼ停止している状況かもしれない。