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セルビッジ生地大手の山文が高齢化を理由に廃業、シャトル織機120台は海外に

 静岡県浜松市のテキスタイルメーカーの山文が来年3月で廃業する。同社は耳付きのセルビッジテキスタイルを織るためのシャトル織機120台を所有しており、デニム以外のシャツ地やジャケット地向けのテキスタイルでは日本で最大級のセルビッジのテキスタイルメーカーだった。船野泰弘・社長は廃業の理由を「本当は10年前に廃業する予定だったが、従業員や取引先の要請で続けてきた。私も78歳だし、従業員が60歳を超えたので廃業を決めた」と語る。浜松市周辺は綿織物の産地で、あえて旧型の織機を活用したセルビッジテキスタイルは日本独自の付加価値の高い商材だが、後継者不足や高齢化の進む産地の厳しい現状を浮き彫りにした。

 旧型の機械であるシャトル織機は柔らかさや独特の風合いなどで人気が高い一方で、機械の扱いが難しく、特に服地用に安定したテキスタイルを生産できるテキスタイルメーカーは少なかった。「われわれのような中小企業にとって繊維で生き続けることは容易ではない。60年間シャトルに特化したことで、なんとかやっては来れた。だが正直言ってそれほど儲かる仕事でもなく、後継者を育てるのは無理だった」という。120台のシャトル織機はすでに売り先が決まっており、業者を通して東南アジアの繊維メーカーへの売却が決まっている。「織機の処理は一括して業者にお願いしたが、聞くところによると日本よりも海外の企業の方が、引き合いが強かったようだ。海外の企業からは技術指導もセットでと言われたが、もう年なのでさすがにそれは無理。最後まで迷惑をかけず、ここまで事業をやってこられたのは奇跡。取引先や従業員に感謝したい」と語った。廃業を惜しむ声は多く、すでに3月まで受注で一杯だ。

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