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アルペン、創業地の名古屋にも旗艦店オープン 378ブランド28万点の品ぞろえで圧倒

スポーツ専門店のアルペンは3月29日、創業地の名古屋に旗艦店「アルペン ナゴヤ(ALPEN NAGOYA)」をオープンした。栄地区の複合施設、ナディアパークの地下1階〜地上5階という6フロア計1万1550平方メートル超の売り場に、ゴルフ、ランニング、バスケットボール、サッカー、野球、トレッキング、キャンプなど、スポーツやアウトドア計378ブランド、28万点超という圧倒的品ぞろえで出店。愛知県で盛んなハンドボールのコーナーが充実していたり、野球売り場に元中日ドラゴンズ所属のスタッフを配置していたりと土地柄も反映しつつ、ECではできない“体験”にフォーカスした店になっている。

名古屋に先立ち、アルペンは2022年に東京・新宿、23年に福岡にも、「スポーツデポ」「ゴルフファイブ」「アルペン アウトドアーズ」という主要3業態を複合した旗艦店をオープンしている。同社は郊外ロードサイドを主戦場としてきたため、「都心部は手付かず。都心でもシェアや認知を伸ばしたい」と水野敦之社長。また、アルペンというと広瀬香美の楽曲を使用した1990年代のテレビCMの影響もあって、今も祖業のウィンタースポーツのイメージが強い。「実際のところ、今ではウィンター関連は売り上げ全体の3%程度。ウィンターではなく、“スポーツのアルペン”というイメージを(通行量の多い都心店で)お客さまに浸透させたい」と狙いを話す。

ゴルフ低調で中古クラブに注力

地下1階は「ゴルフファイブ」のフロア。クラブにウエア、シューズ、バッグ、小物と、ゴルフにまつわる全てがそろう。試打クラブは2500本をそろえ、試打ブースも3箇所で5打席設置。下手でも恥ずかしくない個室ブースや、気後れしがちな女性優先のブースがある点も気が利いている。さらに注目は、中古クラブを5000本という物量でそろえている点。コロナ渦中のゴルフ特需が一巡し、堅実な消費が目立つことから、先にオープンした東京や福岡の旗艦店よりも中古を増やした。もちろん、中古コーナーにも試打ブースがあり、バイヤー歴数十年という知識豊富なフィッターがクラブ選びをサポートしてくれる。

「ジョーダン ブランド」は1000点

1〜3階は「スポーツデポ」の売り場だ。1階のランニングコーナーは、東京、福岡の旗艦店と同様に、陸上競技のトラック風の床が特徴。エリートランナーからファンランナーまで、またロードからトレイルまでカバーしている。「アシックス(ASICS)」「ナイキ(NIKE)」「ニューバランス(NEW BALANCE)」「アディダス(ADIDAS)」といった有力ブランドはもちろん、新興ランブランドとして人気の「オン(ON)」「ホカ(HOKA)」は、「日本最大級のラインアップ」という。

1階にはバスケットボールとサッカーのコーナーも設けている。バスケコーナーの注目は、「ジョーダン ブランド(JOURDAN BRAND)」を90品番1000点品ぞろえしている点。これは東京、福岡を大幅に超える規模といい、ナイキの販売戦略が直営主義から卸再強化に移っているといった事情も感じさせる。サッカー売り場にはご当地のサッカーチーム、名古屋グランパスエイトのグッズも充実。壁際には、各国のサッカーリーグのレプリカユニフォームをずらりと並べており、Z世代にファッション文脈としてサッカーユニフォームが支持されている“ブロケット・コア”の流れにも合致しそうだ。

2階はスポーツライフスタイルの売り場。「ニューバランス」はアルペングループ限定の“ザ シティ”ラインを充実し、「コンバース(CONVERSE)」は「量販店での取り扱いは初めて」というアパレルラインを陳列している。

愛知で盛んなハンドボールが充実

3階は野球、水泳、テニス、バドミントン、ラグビーといったスポーツの売り場。球場をイメージした野球売り場には、試打ができるスイングコーナーと共に、修理やグラブやグローブへの刺しゅうサービスを行う工房を設置。元プロ野球選手のスタッフが、スイングフォームなどについてアドバイスもしてくれる。テニスコーナーでは、楽天オープンなどで実際に選手のラケットにストリングを張っているというスタッフが、店頭でストリングを張るサービスを行っていた。ラケット1つ1つの重量の左右バランスなどを精密に計る計測器も店頭に置いている。

ハンドボール関連商品を約3000点そろえているのも同店の特徴だ。「県内有力企業にハンドボールの実業団があることなどから、愛知県下では中高の部活動でもハンドボールが盛んであり、競技人口が多い」のだという。近年ますます人気のラグビーコーナーにひけを取らない規模の売り場で、国内では希少なブランドも扱っている。

「スノーピーク」の冷凍食品が登場

4、5階はキャンプやアウトドア用品の「アルペン アウトドアーズ」だ。「コロナが明けて以降、キャンプ市場は減速しているが、キャンプ場予約は今も活況。コアキャンパーは離れていないし、一定の新規参入者もいる」と水野社長。“キャンプの聖地”として打ち出す5階には、テントや焚き火台などのキャンプグッズを150ブランド4100品番そろえる。280品番以上のテントの試し張りももちろん可能だ。「スノーピーク(SNOW PEAK)」の新業態「ランドベース」が1号店を出店している点も見どころで、新カテゴリーの冷凍食品を扱っている。炭焼きの香ばしさが特徴というピザやブロックベーコン、ソーセージなどが冷凍什器に陳列されている。今後、レトルトカレーなども加わる予定という。

5階には祖業のスキー、スノーボードのコーナーも設けている。名古屋は岐阜・奥美濃のスキー場なら車で1時間半という好立地。「ゲレンデには、今また若い世代が増えている」(店頭スタッフ)として、一部の強化店舗ではウィンター商品の品ぞろえも続けている。冬が近づけば、キャンプ関連売り場を縮小してウィンターの取り扱いを広げる。キャンプ市場が低調な反面、コロナ禍以降参加人口が増えているトレッキングやハイキングの売り場は4階に設けている。「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」や「パタゴニア(PATAGONIA)」「マムート(MAMMUT)」などの登山アイテムをそろえ、各社のトレッキングシューズやザックも一堂に集積している。

アルペンの23年7〜12月期連結業績は、売上高が前年同期比1.8%増の1224億円、純利益は同69.7%減の9億円だった。コロナ特需が去ってゴルフ、キャンプなどが前年割れとなり、利益を大幅に落とすことになった。この結果を受けて、24年6月期の予想も当初より引き下げ、売上高は前期比3.2%増の2524億円、純利益は同81.0%減の10億円としている。

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