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仏磁器「ベルナルド」が、権威の象徴だった食卓文化の“いろは”を指南

フランス発磁器ブランド「ベルナルド(BERNARDAUD)」は、フランスの食卓文化を学ぶ学術的トレーニングプログラム“アンスチチュート ベルナルド(以下、アンスチチュート)”を本格始動する。

東京・表参道のベルナルドショップ 表参道をメーン会場に開催する同プログラムでは、フランスのアール・ドゥ・ヴィーヴル(生活芸術)に関する多種多様なコンテンツを提供。食卓にまつわる歴史をはじめ、テーブルマナー、ホームパーティーにおけるエチケットといった7〜8のプログラムを用意。フランス本国の学芸員などから構成される“アンスチチュート”の専属チームによる「ベルナルド」オリジナルの教材に沿ってレッスンを行う。また、専門家によるテーブルデコレーション、フラワーアレンジメント、食などのワークショップも開催する。1セッション約1時間で、定員は8人。要望があれば、企業向けにも対応する。

7月に旗艦店で行われたプレスイベントでは、磁器やカトラリー、グラスなどテーブルオブジェの歴史についてのレクチャーを開催。世界各地の美術館などから集められた絵画などのスライドを見ながら、ローマ時代から現代までのヨーロッパの食卓文化の歴史と変遷を紹介した。

ラグジュアリー・アイテムだったリネン

食事は19世紀に中流階級が増えるまでは、貴族や王族の権力を見せる場だった。
中世では可動式家具とタペストリーで宴会場をつくり、ホストは一番高い場所からゲストが食事をするのを眺めていた。18世紀になると、王族は演出を施して晩餐会(グランクベール)を開いていた。一方で、宴会以外の食事(プチクベール)は寝室で取るプライベートなものであったという。今、一般的に使用されているリネンは18世紀までは、ラグジュアリー・アイテムで、王侯貴族が紋章を入れて大切にしていたそうだ。リネンは、食事を暖かく保つと同時に毒を盛られるのを防ぐ目的でも使用された。

食器やカトラリーが一般的になったのは19世紀

座る人の位置を決めるものであるプレート。マルコ・ポーロ(Marco Polo)がヨーロッパに白い磁器を持ち込み、18世紀にヨーロッパでも製造されるようになり、19世紀になってからさまざまな食器が増えて食器棚が登場した。グラス類に関しては、ルネサンスにベネチアングラスが登場した後に、ボヘミアングラスをはじめ、イギリスやフランスでクリスタルが製造されるようになった。

カトラリーは、ナイフの歴史が一番古く、猟のためのものだった。それがスプーンなどと共に、中世で調理器具として使われるようになり、その後、食卓用が登場する。フォークは、カトリーヌ・ド・メディシス(Catherine de Medicis)がフランス王のアンリ2世に嫁ぐ際に嫁入り道具として持参し、息子のアンリ3世が広めた。食卓でカトラリーが広まったのは17世紀ごろ。スプーンは18世紀に紅茶やコーヒー文化が流行して広まっていったそうだ。19世紀には、プレート同様、さまざまな種類がつくられるようになる。フランス料理の鍵となるカトラリーはフォークだそうだ。フォークで食べられるものはフォークで食べるのが流儀で、ナイフやスプーンは補助的に使われるという。

美しいスライドを見ながらのレクチャーは、食卓をテーマにした展覧会を見る感覚で楽しめた。身近な食卓に関する新たな発見もあり、自身のライフスタイルを見直すきっかけにもなる。フランス的な教養を身につけるのにぴったりのプログラムだ。

第1回は、9月29日に旗艦店のベルナルドショップ 表参道で“フランス流ホームパーティーでのホスト / ゲストのエチケット”をテーマに開催。料金は3000円(コーヒー・スイーツ付き)。予約は旗艦店で受け付ける。

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