ファッション

ブランド古着の「ラグタグ」から低価格の新業態 倉庫に眠る在庫をフル活用

ブランド古着買い取り・販売の「ラグタグ(RAGTAG)」を展開するワールド傘下のティンパンアレイは、低価格品を取り扱う新業態「ユーズボウル(USEBOWL)」の1号店をららぽーと横浜1階にオープンした。

店舗面積は35坪で、取り扱い商品はSPAブランドやセレクトショップのオリジナル品など。中心販売価格は2000〜3000円と、「ラグタグ」(中心価格9000〜1万円)と比較すると3分の1以下に抑えている。「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「マルニ(MARNI)」など一部デザイナーズブランドの商品もあるものの、1万〜2万円と手に取りやすい価格帯のものに限られる。また、売り場はブランド別に陳列する「ラグタグ」と異なり、「トラディショナル」「ストリート」などカテゴリー別に編集する。ファッションの知識がない客への敷居を下げる工夫だ。店舗の年間売上高は6000〜8000万円程度を見込む。

販売できなかった在庫を
「ユーズボウル」で流動化

新業態開発の背景には、「フリマアプリの浸透などによる古着マーケットの拡大」(平野大輔ティンパンアレイ社長)がある。「消費者は低価格品かハイブランド品かに関わらず、中古品を手にとることへの抵抗がなくなっている。古着市場に追い風が吹いている」と平野社長。同社の売上高は2023年3月期は55億円と、コロナ前の水準に回復した。「ただ、市場の広がりに追従して『ラグタグ』のラインアップを広げれば、ブランド古着に特化してきた強みが薄れてしまう。それとは切り分けた業態として(『ユーズボウル』が)必要だと考えた」。

「ユーズボウル」は将来的に、現在23店舗を展開する「ラグタグ」と同程度の店舗展開を計画する。6月にはららぽーと新三郷に店を出す。「ユーズボウル」の積極出店によるメリットが、在庫の流動化だ。「ラグタグ」では年間70万〜80万点の古着を仕入れているが、そのうち約3分の1はブランドや状態などが理由で売り値が付かない。寄付やリメイクなどに回してきたこれらの古着を「ユーズボウル」で販売する。それにより、これまで低く抑えてきたブランド品以外の買取価格を底上げできれば、接点のなかった客を取り込むことにもつながる。

「ユーズボウル」とは差別化する形で、「ラグタグ」のラインアップはハイブランド品などの取り扱いにより先鋭化する。ラグジュアリーブランドやハイデザイナーズブランドに特化した業態「アールティー(RT)」は現在銀座の1店舗に留まるが、これも拠点を増やしていく考えだ。

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