ファッション

ユニクロの「マメ」コラボ23年春夏 インポートランジェリーのような繊細な商品がこの価格で実現できるワケ

 ユニクロは、4月28日に発売する「マメ クロゴウチ(MAME KUROGOUCHI以下、マメ)」とのコラボレーションライン「ユニクロ アンド マメ クロゴウチ(UNIQLO AND MAME KUROGOUCHI)」の2023年春夏商品をプレス関係者に公開しました。21年6月に第1弾商品を発売し、今回でコラボは5シーズン目になります。定番商品をアップデートし続けつつ、シーズンごとにユニクロの開発力と黒河内さんの感性を生かした新素材、新ディテールを投入。それがユニクロの既存ラインにも徐々に生かされていっている、というのがこのコラボの肝になっています。

 今季のコラボの目玉はシアー素材のアイテム。昨春夏の「マメ」コラボでも、メッシュ素材のシアートップスは人気で「完売後に増産をかけた」(広報担当者)といいます。そうした昨年のメッシュ素材に対し、より薄手でツルっとした、光沢のあるシアー素材を新規で開発している点が最大のポイント。新しいシアー素材は、パッドなし、ワイヤなしの三角ブラ(税込2290円)、シームレスショーツ(790円)、深いVネックのキャミソール(1990円)の3点に採用されています。繊細なインポートランジェリーのような表情で、これをあらゆる人を対象にするユニクロ本体で作るのはなかなかハードルが高い。それを実現できるのはデザイナーコラボだからこそですね。後述しますが、デザイナーコラボはユニクロにとって、話題性だけでなくR&D(研究開発)の側面も強いのだと思います。

 昨年増産したシアートップスももちろん昨年と同じままではなく、パワーアップしています。ユニクロはカスタマーセンターやECレビューに寄せられた客の声をもとに、定番を含むあらゆる商品を毎シーズン細かく改善していますが、このシアートップス(1990円)も、「もう少しゆとりのあるサイズ感にしてほしい」という声に応えてアップデート。きゃしゃな感覚は失わずに、少しだけゆったりさせました。同時に、首周りや裾部分はパイピング仕様にして、より繊細な雰囲気に仕上げています。

 “3Dニット”シリーズの5分袖セーター(3990円)やロングスカート(4990円)、ワンピース(4990円)も人気が出そうです。着用するとレースのような編み目から肌が透けるデザインで、「肌を入れて完成する」ことを意識してデザインしたといいます。

コラボ開発素材が既存商品にも拡大

 フロント部分の独特の曲線のカットが「マメ」らしいプランジブラ(2290円)やプランジブラキャミソール(2290円)、エアリズム素材のシームレスショーツ(790円)などは、コラボ第1弾から作り続けている商品。今季の打ち出しカラーのブルーのグラデーションで新鮮さを出すとともに、たとえばブラジャーのアジャスターをマットな質感のゴールドに変更するなどして、アップデートしています。

 22-23年秋冬物では透け感のあるヒートテックタイツやソックスを企画していましたが、今季のレッグウエアでは淡い透け感のストッキング(990円)やハイソックス(2足組990円)、シルク混ソックス(2足組990円)をラインアップ。ストッキングやシルク混ソックスは爪先が二股のタビ型になっているのが特徴です。タビ型は「履き心地のよさ、蒸れにくさ」を意識したものといいますが、「マメ」本体でここ数シーズン、京都の履物メーカーと協業で製作している草履型のサンダルともよく合いそうです。

 昨春夏物の「マメ」コラボでは、シルク混のエアリズム素材でタンクトップやブラキャミソールを企画していました。シルク混のエアリズム素材はユニクロとしてもこのとき初めて開発し、導入したといいますが、実は23年春夏のユニクロの既存ラインに、シルク混エアリズム商品が加わっています。このように、デザイナーコラボによって開発された新素材やデザインディテールなどは後々既存ラインにも反映されて、ユニクロの商品全体が底上げされていく。話題のコラボで大きな売り上げを作ることももちろん重要ですが、ユニクロにとっては外部デザイナーと組むことで、素材やデザインへのアプローチが全体的に磨かれていくことの方が大きな財産になっているのだと思います。

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