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「KANEBO」ヒットを後押しする“希望”の言語化 2023年元日から新メッセージ発信、TVCM放映も

 カネボウ化粧品のプレステージブランド「カネボウ(KANEBO)」が勢いづいている。2022年3月に発売したUV美容液“ヴェイル オブ デイ”[SPF50+・PA+++](40g、税込5500円)は、みずみずしい使用感や化粧が崩れにくいなどUV製品の常識を超えた機能性が反響を呼び、売上高が計画比250%と推移。さらに、9月に発売した美容液ファンデ―ション“カネボウ ライブリースキン ウェア”(全8色、税込各1万1000円)は、“素肌に化ける”仕上がりが話題に。売上高が計画比340%と予想を大きく上回り、各所で「うれしい悲鳴」が上がっているという。これらのヒットを後押しするのは、“希望”を伝える独自のプロモーションだ。化粧を通じて「未来への期待感」を醸成している。

 「カネボウ」は、ブランドステートメント「I HOPE.」を掲げ、2020年2月にリブランディングした。“希望”を発信するブランドとして、そのメッセージとともに「明るい未来を提示する」ユニークな製品を創出。パッケージは、多様性の象徴と考える黒で統一し、「黒カネボウ」の愛称で親しまれている。

 21年からは、困難な状況の中でも少しずつ前を向いて動き出そうとする気持ちを鼓舞したいという思いから「希望よ、動き出せ。」をメッセージに掲げ、コミュニケーションしてきた。木津裕美 KANEBOブランドグループ ブランドマネジャーは、「22年は特に『希望よ、動き出せ。』のメッセージと合わせて各製品が活力を持ち、非常にいい形で推進した」と話す。

2023年は「希望よ、超えてゆけ。」を発信

 23年は、次のフェーズに進むべく、新メッセージ「希望よ、超えてゆけ。」を核にコミュニケーションを図る。「われわれは、化粧とは一人ひとりの内面にある“自分らしく”を支えるものでありたいと考えている。その化粧を通じ、一人ひとりが自分を規定する『固定概念=境界線』を超えて、誰もが思うままに個性を輝やかせてほしい。そしてそれを応援する存在でありたい」との思いを「希望よ、超えてゆけ。」というメッセージに込めた。その強い思いとともに、1月1日から新TVCMを全国で放映する。

 新TVCMは「鏡」をキーモチーフに、20年からCM出演するモデルの中島セナほか、国籍・年齢・性別が異なる人々がバスルームや街灯ミラーなどの鏡に向かって化粧する瞬間を連ねた。その表情を通じて、自分を表現することの高揚感、自分らしく生きる姿を描いている。楽曲は、1979年にカネボウ化粧品のキャンペーンソングに起用した布施明のヒット曲「君は薔薇より美しい」にオーケストラアレンジを施し、橘慶太がカバーして歌う。

 木津ブランドマネジャーは、「カネボウ化粧品は戦後間もない頃、疲れた女性の元気を取り戻すために、原価率が高くてもいいと踏み切ったクリームを出したり、鏡台に置いてワクワクするような化粧品を生み出してきた。高度経済成長期に入ると、『女性が進化する』と言われながらも、働く女性はまだまだ少数で、良妻賢母が求められた時代でもあった。その中で『私たちの未来は明るい』と思わせるような力強い広告を打ち出してきた。『広告は0.5歩先がちょうどよく売れる』と言われるが、カネボウ化粧品はもっともっと強い兆しを感じさせる、夢のある広告展開やコミュニケーション、そして商品で戦ってきた」と振り返る。

YouTubeで「化粧愛。」を届ける

 一方で「全てが解き放たれた自由な時代」と言われている今でさえも、「希望を感じない」人がいるということが調査結果でわかったという。「われわれは、いまだからこそできる、この時代を切り開く未来への提示を強めていきたいと考えている」(木津ブランドマネジャー)。そこで、継続的にブランドのメッセージを発信する新しい場としてYouTubeチャンネル「【I HOPE.】Ch」を立ち上げた。

 第1弾となるコンテンツは、「化粧愛。」。毎回、さまざまなバックグラウンドを持つ人が出演し、化粧をする姿を映し出す。その中で「化粧とは?」の問いに対して、その人自身の内面にある思いや、希望につながるメッセージを引き出す、ドキュメンタリームービーシリーズとなっている。第1回目は、アーティスト、ドラァグクイーンとして活躍するヴィヴィアン佐藤が出演する。制作には幻冬舎をパートナーに迎え、今後月に一度のペースで同シリーズを配信する予定だ。

 「ブランドの哲学を語るのには、ライブ配信よりもじっくり見ていただきたいという思いからYoutubeを新設した。『I HOPE.』を中心に置きながら、化粧愛を伝え、その思想に共感していただけるような共創モデルにしていきたい」。今後、メタバースの“チャレンジ”も視野に入れるという。

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