ファッション

東コレのメインテーマに抜てきされた23歳 音楽アーティスト、にしなの素顔

 1998年生まれのにしなは、儚さを感じる歌声と多様な楽曲サウンド、日常を切り取った飾り気のない歌詞が魅力のアーティストだ。昨年は、あいみょんやKing Gnuなど名だたるアーティストを輩出してきたスポティファイ(Spotify)の新人サポートプログラム“アーリーノイズ(Early Noise)2021”に選出されたほか、テレビCMとのタイアップソングの書き下ろしや初のワンマンライブを実現。1月にリリースした「スローモーション」は、3月の「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」のメインテーマにも選ばれ、この夏にビームスが主催する音楽フェス「BE FES!!」への出演も決まるなど、ファッション業界からも注目を集め始めている。7月にはニューアルバム「1999」のリリースも決定した。そんな彼女に音楽を始めたきっかけや曲作りの哲学、好きなファッションスタイルなどを聞いた。

WWD:音楽に興味を持ち始めたたのはいつから?

にしな:もともと歌うことが好きで、小学生の時には歌手になりたいと思っていました。でも漠然と思っていただけで、それを行動につなげることはありませんでした。家族にもバレないようにお風呂で小さな声で歌う、みたいな感じでした(笑)。

WWD:本格的に音楽活動を始めたきっかけは?

にしな:高校2年生のときに、音楽をやっていた友達から無料でレッスンを受けられるオーディション情報を聞いて、「これなら落ちても誰にもバレないし、やってみてもいいじゃん」と軽い気持ちで応募しました。1次審査のために音源を送らなきゃいけなくて、録音のやり方が知らず、iPhoneを裏向きに置いて動画として撮影したくらい(笑)。あんなに手探りだったのに、よく受かったなと思います。

WWD:レッスンではどんなことを学んだのでしょうか?

にしな:ギターの選び方とか、ライブハウスに出るにはどうすればいいかとか、音楽活動の基礎を教えてもらいました。実戦的な学びはもちろん、それ以上によかったのが、本気で音楽に取り組む同世代に出会えたこと。私はどちらかというとシャイで内側にこもりがちだったけど、自分のやりたいことに挑戦する同世代を見て大きな刺激を受けました。そこからライブハウスに自分で電話して出させてもらったり、ユーチューブに動画をあげたりと、マイペースだけど継続して音楽に取り組んでいきました。

WWD:アコースティックな音楽が多い印象ですが、ルーツは?

にしな:歌うことに憧れたのはコブクロさんがきっかけです。中学からはバンドも聞くようになって、クリープハイプやラッドウィンプス、バックナンバーなどもよく聞いていました。

WWD:1月にリリースした「スローモーション」は、バンドライクなサウンドでしたね。

にしな:椎名林檎さんの「ギブス」を聞きながら、こういう世界観の曲をやってみたいと思ったのがスタートでした。ヒリヒリするようなギターのアレンジは意識しています。それと、恋をして、一瞬一瞬の出来事が激情的になると、後からスローの映像で思い返せる感覚があって。喧嘩のときに花瓶が割れたら、その瞬間を後から明確に思い出せるというか。その個人的な感覚をタイトルの「スローモーション」に込めました。

WWD:昨年はGMOクリック証券のCMソングとして「U+」をリリースしました。壮大なアレンジが印象的でした。

にしな:“多様性”という大きなテーマのもと、「私にとっての多様性を表現してほしい」とリクエストされて。コラージュアーティストの五反田和樹さんの映像が先に出来ていたので、それを見ながら歌詞とメロディーを広げていきました。クライアントやほかのクリエイターの熱に良い意味で影響されて、いつもと違うアレンジに挑戦できたのがよかったです。制作過程はいつもと異なるけど、コードと歌詞とメロディというシンプルな要素は変わらないから、タイアップやコラボ楽曲でも自分らしく音楽と向き合えています。

WWD:ライブでの衣装のこだわりは?

にしな:これというこだわりは特にないですが、衣装はパフォーマンスにも影響を与えます。ガーリーな服を着るとかわいい自分になりたい、かっこいい服なら強い自分になりたいと思うので。自分の中でモードが切り替わりますね。

WWD:雑誌撮影なども増えています。音楽ではなく、ファッションや写真で表現することの面白さは?

にしな:コンプレックスがたくさんあるから、「私なんかでいいのかな」って思っちゃいます。でも、いろんな服を着て、素敵に撮ってもらうと、自分が知らなかった側面に出合えて、自分を好きになるきっかけをくれる。それがうれしくて、最近は楽しめるようになってきました。

WWD:普段はどんなファッションが好き?

にしな:ゆるい雰囲気が好きです。古着が好きで下北によく行っています。あとはニューヨーク発のニットブランド「ヤンヤン(YANYAN)」とか、「フィル ザ ビル(FILL THE BILL)」も好き。衣装で着てから知るブランドも多いです。

WWD:今後チャレンジしたいことは?

にしな:まずはいろんな音楽を作り続けること。いろんな人と出会って、ふざけた曲も、真面目な曲も作りたい。あとはライブですね。ライブってお客さんと時間を共有して、エネルギーをもらえる大事な時間で。行ったことのない地域の方が多いから、いろんな所に行きたいです。ほかにも音楽を軸にしながら、短い映画とか、絵本とか、枠にとらわれずに新しい表現に挑戦できたらうれしいです。

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