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連載 Makuakeが寄り添った応援されるブランドへの挑戦

Makuakeが寄り添った応援されるブランドへの挑戦「VOL.2 NISHIGUCHI KUTSUSHITAの事例」

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 「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現」をビジョンに掲げるマクアケは、ブランドが持つべきパーパスの可視化や、その伝え方、ユーザーとのコミュニケーション作りなどでメーカーに寄り添い、モノづくり企業がモノづくりに集中できる環境整備に一役買っている。ブランドの伴走者、キュレーターが過去の事例を踏まえながら、応援されるブランドの共通点を探る。(この記事はWWDジャパン2022年2月14日号からの抜粋です)

本質的なモノづくりを追求しよう

 今回焦点を当てるのは、ニット・ウィン(以下、NISHIGUCHI KUTSUSHITA)。大企業のマーケティング担当を経て、3代目として家業を継承する西口功人(にしぐち・いさと)さんにお話をうかがいました。モノづくりの本質を捉え直し、Makuakeで「ホームソックス」のプロジェクトを成功させ、さらなる「応援されるブランド」へと導いたポイントをひもときます。

 NISHIGUCHI KUTSUSHITAは、1950年に西口さんの祖父が創業し、「一日を変える靴下づくり」をスローガンとして、靴下などのフットウエアの領域で事業を展開しています。時代やニーズの変遷に対応しながら、天然素材にこだわったモノづくりを続けてきました。2017年からは「はくひとおもい」をコンセプトにブランドを育てています。

 3代目として家業に戻った西口さんが、まず考えたのは「これからの30年」。大きなイノベーションが起きづらく、コモディティ化してしまった靴下について、自社の存在意義を絡め、生産し続ける意味を捉え直しました。会社は、生活者に「本当に良い」と思ってもらえるよう、自社の強みである「天然素材を使ったモノづくり」「受け継いできた伝統技術・オールドマシン」をベースに、“ずっとかっこいい定番ブランド”を目指してきました。そして「はくひとおもい」を掲げる中で、コロナ禍でおうち時間が増えたことを考慮し、外履き用ではなく、おうちで心地よく過ごせるよう肌触りの良いシルクコットンを採用した「ホームソックス」にたどり着きました。

 今回のプロジェクトを通して見えた、応援されるブランドのポイントは以下の3点です。

 まず1点目の「作り手へのリスペクト」についてです。プロジェクトページにも登場した職人の野尻正治さんは、大手メーカーの工場長を歴任し、NISHIGUCHI KUTSUSHITAに入社すると数年かけてオールドマシンを改良し、今回のシルクの三層パイル加工を実現しました。20代で職人の道に進んだ野尻さんをはじめ、多くの作り手にとって靴下は人生そのものであり、NISHIGUCHI KUTSUSHITAの歴史そのもの。プロジェクトページをはじめ、活動リポートでも積極的に情報発信することで、作り手の等身大の姿を届けました。

 2点目は、「利用シーンを考え抜く」です。“生活者として使うイメージが湧くのか”を考え抜くと、商品の姿が浮かび上がってきます。そして徹底的に掘り下げた利用シーンを提案することで、生活者の琴線に振れ、愛される商品になっていきます。その商品が誰に、どういう時に、どんな風に使ってもらうと一番活躍できるのかを何度も考えることが大切です。

 今回のホームソックスでは、おうちで履くことに着目し、外履き用で使われるウールではなく、汗をかいてもしっとりとした肌触りで心地よいシルクを採用した他、長く・快適に使い続けられる構造・設計などを突き詰めました。

商品の強みが最も生きて
ユーザーが最も幸せな場面は?

 そして、“この商品を使っていて最も気持ちいい瞬間はどこなのか”を考えた結果、「お風呂上がり」というシーンに着地しました。生活者のニーズと、作り手が考える“最も商品の強みが生きる利用シーン”をかけ合わせて、ユーザーを“最も幸せにできる利用シーン”を導き出したのです。

 3点目は、NISHIGUCHI KUTSUSHITAの核である「本質的なモノづくり」です。昨今、商品を売っていく上では多種多様なマーケティングやプロモーション手法が溢れています。その中でNISHIGUCHI KUTSUSHITAが立ち返ったのは、手段としてのマーケティングにとらわれず、「本当に良いモノを追求して、作り続ける」ということ。ブランド運営においてコンセプトや世界観はとても大事ですが、最も核になるのは「自分たちは何がしたいのか」という点です。それはNISHIGUCHI KUTSUSHITAにとって、「自分たちが幸せにできる人のために、正直に商品を作り届けたい」という思いでもありました。印象的だったのは、「戦略的なことはしたくない」という言葉でした。“頑固なすし屋が握るすし”のように、自分たちが本当に良いと思えるモノを、自信を持って届けることで、それに共感する人々に愛されるのだと感じました。

 NISHIGUCHI KUTSUSHITAは、自分たちにしかできないモノづくりに全力を注ぎ、自分たちにできる範囲の人を幸せにすることを大切にしています。本質的なモノづくりを追求している点が、本当の強さです。

 NISHIGUCHI KUTSUSHITAは、さまざまなマーケティング手段が目的化する現代においても、生活者のニーズと自社の存在意義をシンプルに捉えながら、ブレずにモノづくりを追求することで、さらに「応援されるブランド」となりました。

 「はくひとおもい」のモノづくり精神や技術が凝縮された今回のホームソックスは、商品の魅力だけではなく、作り手のストーリーや思いという魅力も相まって、深くファンに響いていきました。

 自分たちには何ができて、何をすべきで、それによって誰が幸せになり、何が残るのか。

 マクアケ社のビジョンにも通じる重要なブランド要素をかけ合わせて考え抜くことで、作るべきモノが浮かび上がってくるのだと思います。そして、飾りすぎない等身大のコミュニケーションを大切にしながらユーザーとの信頼関係を醸成することで、次の30年、100年愛されるブランドにつながるのだと感じています。


【成功の三カ条】
1 作り手へのリスペクトを大切にしよう
2 利用シーンを考え抜き、解像度をとことん上げよう
3 自分たちにしかできない、モノづくりを追求しよう


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