(前回から続く)
当時、海浜幕張のワールドビジネスガーデンの5階がベンチャー企業をサポートするフロアになっていて、いろんなベンチャーが入居していました。その一角にスタートトゥデイ(現ZOZO)があったんです。
すごい金額を売っていることを知っていたので、僕は勝手にまぁまぁ大きい会社の一部門がやっているんだろうと思っていました。でも、どうやら違うらしい。訪れた会議室も共有で、そこから奥の方に見えた「スタートトゥデイ」と書いてある場所で、数人の若い人が働いている感じでした。社長と会うんだと思っていたのに、出て来たのが、小柄でパーカ を着たお兄ちゃんみたいなだったので、中堅社員だなと思いましたね。まさか社長(前澤友作氏)だとは夢にも思わなかったんです(笑)。
僕は「どうしてこんなに売れているのか」が知りたかったので、ざっくばらんに話を聞くつもりだったのですが、なぜかいきなり面接みたいな感じだったんです。男性は「どんなブランドが好きですか」とか、真面目な質問をすごくしてきて、ずっとノートパソコンに何か書き込んでいました。正直、パソコン見ながら人と話すことに、失礼だなって思っていました。女性の方は何も喋らず、なんかつまんなそうにしているんですよ。
僕も探り探り、「何人でやってるんですか」とか、「ここだけでやってるんですか」とか聞いているうちに「もしかして、この人が社長なのかな」と分かってきて。目の前のお兄ちゃんが社長で、謎の女の人と向こうに見える数人で、あの売り上げをネットだけでやってるって、すごいなと。「この会社は日本一面白いことをしている!」って直感しました。しかも千葉で、みたいな!
前澤さんにはついては、会話の内容の記憶はほとんどないのですが、すごい人に会ったという印象だけは強烈にあって。この面談の後、僕は働いていた会社の先輩に「天才に会った」って言っていたそうです。前澤さんは、常にいい人がいたら採ろうと思っていたのかもしれないですね。僕は新しいことをしたいと思っていたので、入社の話に「おぉ、いいじゃん」って。それで2002年に入社しました。
スタートトゥデイはもともと音楽事業から始まっていて、後から洋服も売るようになっていました。僕が入るまでは前澤さんと音楽つながりのメンバー4人、そして面接に同席した女性の6人でやっていたのですが、入社初日に結構気まずい話をしていました。音楽事業が不調で、利幅も少なくて、「今後どうする?」という内容でした。倉庫兼オフィスの狭い空間だったから、全部聞こえるわけです。
音楽が売れないから洋服もやっているけれど、洋服の方が売れるし、洋服の写真を撮ったり、発送したりの作業ばかりで、音楽好きのメンバーは洋服については “やらされている”感があったようで。すっごく気の滅入る話だったんですけど、前澤さんは仕切り方が経営者という感じなんですよね。「どうするんだ」って詰めるだけじゃなくて、状況とか今後の展望を語りながら、このまま続けるのか、じゃあなんで続けるのか、意味があるのかとか、ロジカルなんです。でも、みんなずっと下を向いたまま、気まずい時間が流れていましたね。
僕は音楽事業をやっていたこと自体を知らなくて。「音楽からスタートした会社なのに、それも知らずに入ってきやがって。なめんなよ」的な、すごくアゲインストな空気を前原(正宏・元取締役)さんから感じていました(苦笑)。23〜24歳の集まりなので、本当に大学生の延長線みたいで。でも、やっていることはめちゃくちゃ面白いし、前澤さんが全部システムを作っているというのも知って、すごいなと思いました。「この会社は絶対大きくなる!」と入社当初から確信していました。(次回は11月29日12時アップ予定です)