ファッション

朝倉海のファッションブランド挑戦は「ただ強いだけじゃダメだから」 批判覚悟も全ては格闘技のために

 総合格闘家の朝倉海は、自身のファッションブランド「エンメール(EN MER)」のポップアップストアを東京・表参道ヒルズのアイデア バイ ソスウで21日まで開催中だ。同ブランドのポップアップは今回が初で、フーディー(税込2万4000円)やスエット(同2万1000円)、Tシャツ(同7000〜8500円)、テーパードのスラックス(同1万5000円)などをそろえるが、17日時点ですでに完売間近のアイテムもある。

 朝倉は高校3年から本格的に格闘技を始め、「THE OUTSIDER 55-60kg級王座」や「第3代RIZINバンタム級王座」などのタイトルを獲得してきた。ユーチューブでの情報発信など既存の格闘家と異なる活動でも支持を広げ、若年層から多大な人気を持つ。しかし今年3月のファッションブランド立ち上げ時には、「格闘技に集中しろ」といったアンチコメントも浴びせられた。「それでもブランドをやりたかった」と語る朝倉が、アパレルに挑戦する胸中を明かす。

WWD:なぜファッションブランドを立ち上げようと思った?

朝倉海(以下、朝倉):格闘技の他に何が好き?と聞かれたらファッションって答えるくらい洋服が好きで、たくさんの服に袖を通してきました。いろんな服に触れるうちに、ここがこうだったら欲しいのにとか、自分の好きなイメージが確立されてきたんです。だったら自分でやっちゃおうと、ブランドをスタートしました。

WWD:いつから構想していた?

朝倉:かなり前からやりたいと思っていました。ただ、ブランドを広げるにはもう少し知名度が欲しいなと。格闘技はもちろん、ユーチューブやテレビ出演などを通してある程度知ってもらえるようになり、「今だな」と思ってはじめました。

WWD:ちなみに好きなファッションブランドは?

朝倉:めちゃくちゃいろんな服を着るんですけど、最近は「リック・オウエンス(RICK OWENS)」と「ジル サンダー(JIL SANDER)」をよく着ています。

格闘技はお客さんありき
ブランドはその入り口の一つ

WWD:立ち上げ時は批判的な声も多く上がった。

朝倉:純粋に格闘家として応援してくれてる人から「格闘技に集中してくれ」という声が出るのは当然だと思います。好きだからこそ、厳しい意見を出してくれてるわけで。それは真摯に受け止めています。でも、格闘技ってただ強いだけじゃダメで、お客さんありきなんですよね。強くなって、良い試合をやっても、見てくれる人がいないと成立しない。まずは知ってもらわないといけないんです。僕がユーチューブやテレビに出ているのは、格闘技への間口を広めたいからで、ブランドもその一つ。「この服いいな。……あ、格闘家がやってるんだ」という発見から、格闘技に興味を持ってもらうのが理想です。

WWD:「グッズ感覚でやるな」「絶対上手くいかない」など、ビジネスへのネガティブな声もあった。

朝倉:今でもそう思われがちです。「本業の合間に楽して稼ぎたいだけだろ」って。でも、本気でファッションを勉強して、良い物を作りたいんです。大きな会社がバックにいるわけじゃなく、仲のいい人たちと手弁当でやっており、工場は自分たちで探して依頼するし、商品撮影も全て立ち会って、どのフォトグラファーを起用するかも考えている。ファッションブランドとしてしっかり成立させたいんです。自由な時間は少なくなっちゃいましたが、どの工程も楽しいので苦にならないし、妥協せず打ち込んでいます。

WWD:ポップアップの反響は?

朝倉:すごく大きいです。在庫をけっこう積んでいたんですけど、すでに無くなりそうなアイテムもありますね。今まで通販しかなくて、写真と映像だけじゃ伝わりづらい部分もあったので、実際に手に取って、着心地や肌ざわりの良さに驚いてくれるのがうれしいです。まあ、僕目当てで来てくれる人も多いのだとは思いますけど(笑)。

WWD:今後の展望は?

朝倉:もっと服好きな人に届けていきたいです。今は「朝倉海がやってるから買う」というファンの方が多いですが、純粋に商品を評価してもらえるように頑張りたい。ゆくゆくは卸売もできるまで成長させるのが目標です。

WWD:最後に、格闘家・朝倉海のファンに向けてもメッセージをお願いします。

朝倉:先週日曜に「RIZIN」バンダム級グランプリがスタートして、一回戦を突破しました。決勝の大晦日へと進んでいくので、それに向けて準備を重ねていきます。“格闘技ブームの熱を取り戻す”ことを一つの目標に掲げているので、今回東京ドームで1回戦が行えて、テレビ中継もあったのはすごくうれしかった。「ようやくここまで来たな」って。絶対に優勝して、さらに格闘技界を盛り上げたいです。

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