顧客から支持を集める販売員には共通点があるはず。スタイル提案・発信のプロである理容室「タケシズバーバー」の内山和輝スタイリストと吉岡玲欧「ユナイテッドアローズ」原宿本店セールスマスターの2人が語り合う。(この記事はWWDジャパン2020年9月14日号からの抜粋です)
WWD ジャパン(以下、WWD):まずは簡単に自己紹介をお願いできますか?
内山和輝「タケシズバーバー」スタイリスト(以下、内山):理容室「タケシズバーバー」でスタイリストをしています。地元の富山県にいたころは、親友の父親が働く理容室にずっと通っていたんです。その働く姿に憧れて理容師を志しました。七三スタイルや剃刀を使用してグラデーションをつけながら刈り上げるフェードカットなどが得意ですね。
吉岡玲欧「ユナイテッドアローズ」原宿本店 セールスマスター (以下、吉岡):私は「ユナイテッドアローズ」原宿本店セールスマスターとして販売員をしています。入社前は、古着一辺倒だったのですが、唯一ロンドン発の「アート・カムズ・ファースト(ART COMES FIRST)」というブランドが大好きでした。当時、日本ではほとんど展開していなかったんですが、原宿本店が扱っていて興味を持ったのが入社のきっかけです。
WWD:お2人とも接客には定評があるとお聞きしています。接客するときはどんなところを注視・意識していますか?
内山:まずはその日のお客さまの服装を見るようにしています。どんなスタイルや雰囲気が好きなのかは、お客さまの服装が物語っていると思います。会話のきっかけにもなりますし、そこからお客さまの希望を汲みながらスタイルを提案します。
吉岡:私も服装はもちろん、髪形や手先、足元など全身のスタイルも踏まえて会話をするように意識しています。どんなアクセサリーを身に着けているかでも話のきっかけになりますよね。
WWD:実際に接客に入った時に気を付けているところや、必ず行うことなどはありますか?
内山:やっぱりしっかりヒアリングすることは重要です。技術で応えられるように努めるのはもちろんのこと、幅広い年齢層が来店するのでお客さまの悩みや要望に合わせて会話の速さや内容などは変えています。
吉岡:お客さまに合わせるという意味だと私も、会話のテンポやトーン、スピードですね。例えばせっかちな方に対してゆっくり会話すると、相手は少なからず違和感を覚えると思います。できるだけ自然にお客さまのペースに溶け込みつつ、徐々に店舗や自分の雰囲気に引き寄せられるように意識しています。
WWD:顧客のタイプに合わせていらっしゃるということですが、顧客によりスタイリング・スタイル提案もさまざまですよね。インスピレーション源は?
内山:ヘアスタイルに関してはファッション誌やヘアカタログなども読みますし、アーティストや著名人と同じ髪形にという要望もあるので、SNSでそういった人たちのヘアスタイルをチェックしていますね。
吉岡:私は逆に雑誌やウェブメディアは見ないですね。自分の経験や感覚的に好きなものをスタイリングに取り入れて、それが世間のトレンドと乖離していないかをSNSで答え合わせしています。
WWD:集客や売り上げを伸ばすことも意識しているのでしょうか?
内山:今まで美容室に通っていたお客さまが理容室に来店するのは、剃刀を使用したスタイルを求めていらっしゃるからです。そういった方がリピートして顧客になっていただけるように技術やサービスに加えて、「僕とまた話したいな」と思っていただけるように会話でも付加価値を与えられるように意識しています。
吉岡:数字を追い過ぎると接客を通して伝わってしまうので、売り上げをあまり意識しないように気を付けています。またフォロワーの方々からの疑問をインスタグラムのストーリーズでQ&A方式で回答しています。ユーザーとのコミュニケーションを通して人となりを知ってもらえたことで、地方から来店してくださるお客さまもいらっしゃいます。うれしかったですね。
WWD:それも内山さんが言う「また話したいな」ということにつながりますよね。ところでスタイル提案・発信のプロのお二人ですが、今につながる新人時代の苦労はありますか?
内山:新人時代は大変でしたね。お客さまのそれぞれの髪形や髪質、頭の形に対応できなかったことが多々ありました。朝も夜も営業時間以外はとにかく練習していましたが、新人ゆえの経験や施術回数の少なさからそういった事態を招いてしまいました。今でも平日朝の営業前は、欠かさず練習して技術を磨いています。
吉岡:私も接客に関してだと、入社から1年間は教育係の先輩から接客のたびにフィードバックをもらったり、営業後その日一日の振り返りをしたりと積み重ねでした。また、入社2年目で年の離れたお客さまを担当した際に、自身のスタイリングや知識の幅の狭さがあだとなって「担当を変えてほしい」と言われてしまったことがあったんです。その出来事がきっかけで、知識やコーディネート提案に磨きをかけ続けています。今では20~60代までの顧客に支えられています。
似合いそうな
自社アイテム・スタイル
今回、Zoomで初対面した2人に、約1時間の対談を通してお互いの人となりを知ってもらった上で、職種や雰囲気に合わせて似合いそうな自社アイテムやスタイルを選んでもらった。提案のプロらしく対談中も普段のスタイルやこだわりをヒアリングしていたのが印象的だった。
尾花大輔「N.ハリウッド」デザイナーとのコラボレーションラインの「ボタンレスジャケット」1万9000円。サロンワーク中も邪魔にならないルーズ過ぎないシルエットだ
「. タケシズバーバー」のオリジナルポマード(120g)2000円
サイドとバックを0 〜5mmに刈り上げて、トップをやや長めに残したクロップスタイル
出勤時のマストハブアイテムは?
毎日店頭に立つスタイル提案のプロの2人は、自身のファッションへのこだわりも人一倍。スタイリングのキーとなるファッションアイテムからは、シンプルな小物からひと癖あるデザインまで双方のこだわりが見てとれる。2人のマストハブアイテムを紹介しても
らった。