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連載「今、デザイナーができること」Vol.31 濵田博昭「ファッションシステムの歪みを見直す」

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中で不透明な状況が続いている。そんなときに、ファッションは何ができるのか。生産者から販売員まで業界全体が不安を抱えている状況に、ファッションデザイナーたちは何を思うのか。日々変化する状況に対応しながら、それでもファッションの力を信じ続けるデザイナーたちの声を連載で紹介する。今回は、2020年秋冬シーズンに自身のブランド「ポートヴェル(POTVEL)」を「ニューレーベル(NULABEL)」として再スタートさせた濵田博昭デザイナーが登場。

NULABEL

濵田博昭

Q.今、デザイナーができることは?

A. 今最も影響を受けているのは小売業の人たちだ。その波はブランドにも必ず影響を及ぼし、生地屋や縫製工場にも広まっていくだろう。しばらくマーケットは回復しない。そんな今こそ、ファッションビジネス全体が変化するべきだと思う。

これまでも既存のファッションシステムには疑問を抱いていた。スケジュールや発表形式、場所、タイミングなどストレスを感じる部分も多かった。その歪みはみるみる大きくなり、マーケットやエンドユーザーの感覚から乖離していった。エンドユーザーとよりよい関係を築いていくため、どんな方法でアプローチできるかーーこれを最優先に考え、実行しなければならない。

個人としてはデジタルを活用してこれまでより多くの人とコミュニケーションをとるようにしているし、卸先のショップと一緒にインスタライブを行うなど新たな活動にも挑戦している。展示会や発信方法にもデジタル化を進めていくだろうし、ルックの表現なども変わっていくだろう。

クリエイション面もアップデートが必要だ。ミーイズム(自己中心主義)的なクリエイションや強い力を持ったデザインはこれからも残していくべきだが、独りよがりであってはならない。自分に求められるデザインを明確にし、卸先と密に連絡をとりながら今以上の答えを探していきたい。