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ニーマン・マーカスのCEOが語る 破綻後の計画

 米百貨店ニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)やバーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)を運営するニーマン マーカス グループ(NEIMAN MARCUS GROUP以下、NMG)が経営破綻した。同社は日本の民事再生法に当たる米連邦破産法第11条の適用を5月7日に申請したばかりだが、2018年2月から同社を率いているジェフロイ・ヴァン・ラムドンク(Geoffroy van Raemdonck)最高経営責任者(CEO)が米「WWD」の取材に応じた。

 NMGは13年に、投資会社アレス・マネジメント(ARES MANAGEMENT)とカナダの公的年金運用機関であるカナダ・ペンション・プラン・インベストメント・ボード(CANADA PENSION PLAN INVESTMENT BOARD)によって60億ドル(約6360億円)で買収されたが、この際に約45億ドル(約4770億円)の長期負債を背負うこととなり、年におよそ3億ドル(約318億円)の利息を支払わざるを得ないことが経営に重くのしかかっていた。同社の売上高は年間50億ドル(約5300億円)程度のため、17年には身売りを検討するほど業績が悪化。新型コロナウイルスの影響による休業措置が追い打ちをかけたことは間違いないが、それがなくともいずれ経営は行き詰まっていたと見る専門家は多い。

 しかしヴァン・ラムドンクCEOは、「新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が起きなければ、破産法の適用を申請しなかっただろう。19年7月通期のEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は4億ドル(約424億円)で、20年度も新型コロナウイルスの感染が拡大するまでは同水準で推移していたため、利息を払うには十分なだけの利益を上げていた。これから成長軌道に乗るというところでパンデミックが起き、運転資金の確保や負債の返済ができなくなってしまった」と語る。

 同社は破産法適用の申請に当たり、債権者の過半数との合意のもとで6億7500万ドル(約715億円)のDIP融資枠を確保している。同氏は、「負債を株式に転換してNMGのオーナーとなることに、債権者の3分の2が同意してくれた。これは非常にポジティブなことだ。また破産の手続きをすることで、総額40億ドル(約4240億円)以上あった債務が7億5000万ドル(約795億円)程度に縮小される。債務がおよそ80%減となるため、かなり健全な財務状態となる。今年度はさらに収益を上げ、事業を成長させていきたい」と述べた。

 NMGは数年前から「百貨店をラグジュアリー・プラットフォーム化して高級志向の顧客を引きつける」戦略を取っている。債権団がこうした方向性について賛同していることから、ヴァン・ラムドンクCEOをはじめとする経営陣は少なくとも破産の手続きが一段落する今年の秋頃までは現職にとどまるという。

 同社はニーマン・マーカスを43店、バーグドルフ・グッドマンを2店、アウトレットのラスト・コールを22店運営しているが、新型コロナウイルスの影響によってその全店を休業している。また3月11日には、ラスト・コールの大半を閉店することを発表した。従業員は本社も含めて1万3700人ほど抱えているが、休業措置のためその3分の1を一時解雇しており、今後は閉店などに伴ってさらに750人程度を解雇する。

 なお、同社は早くからECにも注力しており、現在では売り上げの30%以上を占めている。3月には顧客や商品のデータが利用できるデジタル機器を4500人の販売員に配布し、店舗の休業中も顧客との緊密なコミュニケーションが取れるようにした。こうしたデジタル分野の強化に取り組んできたことが奏功し、ここ5週間で6000万ドル(約63億円)の売り上げがあったという。

 アメリカでは5月8日前後から半数近くの州で外出制限措置が緩和され、一部の小売店で営業が再開する。NMGの拠点であるテキサス州でも営業再開が許可されているが、同州内にある7店のニーマン・マーカスはいずれも休業を継続する。同氏は、「顧客の安全確保が第一なので、安心してショッピングを楽しんでもらえるタイミングを検討中だ。金銭的な問題のためだけに営業を再開するつもりはない」と説明した。

 経営上の判断で、休業からそのまま閉店となる店舗もあると思われるが、予想よりは少なくてすむと見られている。破産手続きを取ると、ほぼ罰則なしで店舗の賃貸契約を破棄したり、賃料の交渉が可能になったりするためだ。19年3月にニューヨークのハドソンヤード(HUDSON YARDS)にオープンしたニーマン・マーカスの旗艦店の業績について懸念する業界関係者も多いが、交渉の末に賃料が下げられたようだ。

 ヴァン・ラムドンクCEOは今後の見通しに関して、「ここ数年ほど取り組んできた戦略を引き続き進めていく。負債が大幅に減ったため財務上の自由度が格段に上がったが、それをどのように事業に投じていくのかについて発表するのは時期尚早だ」と話した。

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