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「カルバン・クライン」親会社のCEO、新型コロナ陽性も軽症で回復 19年度は増収減益

 「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」や「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」などを擁するPVHコープ(PVH CORP)のエマニュエル・キリコ(Emanuel Chirico)会長兼最高経営責任者(CEO)は、3月下旬に新型コロナウイルスの検査を受けて陽性と判明したが、軽症でほぼ回復していることを4月1日に発表した。

 同氏はニューヨークにある大学病院モンテフィオーレ・メディカルセンター(Montefiore Medical Center)の理事を務めているため、PVHの調達部門を通じて150万枚の医療用マスクを提供する調整役を担っていた。「病院によく出入りしていたので、症状はなかったが検査を受けることを周囲に勧められた。3週間前にワシントンに行った後、数日ほど風邪のような症状があったものの発熱はなかったので、感染しているとは気づかなかった。軽症ですんで幸運だった」と語った。なお、ニューヨーク州が非常事態を宣言した後に陽性が判明したため、同氏はすでに自宅隔離の状態にあった。

 アメリカでは新型コロナウイルスの感染が急激に拡大しており、4月6日の時点で感染者が32万人を超えるなど、事態が収束する兆しはまだ見えない。店舗の休業中にも従業員に給与を支払っている企業では人件費が重くのしかかっており、一時解雇や人員削減の動きも広まりつつある。

 キリコ会長兼CEOは、「当社の傘下ブランドは3月17日から店舗を休業しており、従業員には30日間の給与を保障している。当社には12億ドル(約1296億円)の手元資金があり、財務状態も健全だが、休業して売り上げが入ってこないのでは事業を継続できない。それはメイシーズ(MACY’S)やコールズ(KOHL’S)のような百貨店であれ、当社のようなアパレル企業であれ同じことだ。現在の状況では、5月か6月ぐらいに営業を再開できるという保証はない。このまま事態が収束しなければ、当社もいずれは苦渋の決断を迫られることになるだろう」と述べ、将来的には一時解雇などの措置を取る可能性があることを示唆した。

 小売店にとって、人件費に加えて負担となるのは店舗の賃料だ。同氏は、「テナントと家主が協力して痛みを分け合う必要がある。政府がそのルールを決め、場合によっては資金援助なども行ってほしい」と述べた。同氏はまた、「5〜6年後には小売業界の再編が起きると思っていたが、新型コロナウイルスの影響によって業績が落ちている企業が多いことを考えると、予想よりも早い段階で買収や合併などが起きるのではないか」と分析した。

 同社は20年1月通期決算を発表しており、売上高は前期比2.6%増の99億ドル(約1兆692億円)で、純利益は44.0%減の4億1730万ドル(約450億円)だった。純利益の大幅な減少は、主に販管費の増加や為替の影響による。ブランド別の売上高は、「トミー ヒルフィガー」が同8.4%増の47億1170万ドル(約5087億円)、「カルバン・クライン」は同1.7%減の36億6780万ドル(約3960億円)だった。

 キリコ会長兼CEOは、「19年度もよい業績を上げることができて満足している。新型コロナウイルスの影響によって20年の売り上げは打撃を受けることが予想されるが、傘下ブランドが確たる地位を築いていることや当社の財務状態の健全さなどにより、この危機を乗り越えられると確信している。事態の収束後は、再び長期的に成長していけるだろう」と述べた。

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