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ユーチューバーのヒカルとロコンド田中社長が異色のコラボの裏側を語る

 シューズと服のネット通販サイト「ロコンド」は4月2日から、ユーチューバーのヒカルとコラボレーションしたシューズの販売を開始する。東証マザーズ上場企業で“進撃のロコンド”を自認するネット通販界のトリックスターであるロコンド田中裕輔社長と、ビームスの設楽洋社長や現代美術家の村上隆もファンであることを公言し、ユーチューブのチャンネル登録数380万人を抱えるヒカルは、なぜ異色のタッグを組んだのか。新型コロナが猛威を振るうなか、マスク姿の2人に直撃した。

WWD:ヒカルさんは昨年11月にオリジナルブランド「リザード(REZARD)」をスタートした。もともとオシャレ好きですよね。

ヒカル:いや、正直微妙なとこありますよ。キャラ的に買い物も好きなんで、「グッチ」「シャネル」「ルイ・ヴィトン」「バレンシアガ」などのハイブランドを年間2000万〜3000万円を買ってました。けど僕は試着嫌いなんでほとんどしませんし、マネージャーに代理で買ってもらうことも。買った服もほぼ着てなくて、結局は4−5着を着回していたり。正直ユーチューバーやってなかったら、服は買ってないですね。

WWD:ではなぜ服のブランドを?

ヒカル:ブランドを作った最大の理由は、ハイブランドが高すぎるから。僕はお金は持ってますが、やっぱり高いもんは高いですよ。それに着ないんだったら無駄じゃないですか。同じようなこと考えている人はけっこういるかな、と。ハイブランドはものがいい、着心地もいい。けど、もっと安くかったら欲しがる人がたくさんいるんじゃないかなって。何より僕も欲しかったので。

WWD:実際にやってみてどうでした?

ヒカル:想像以上に売れたことにびっくりというか、戸惑いました。服でお金を儲けしようと思っていなかったので、価格帯も本当にギリギリまで安くして、自主生産していたので。3カ月で1億円くらい売れてます。

WWD:ロコンドとコラボすることになった経緯は?

ヒカル:まあ、その辺で田中(裕輔ロコンド)社長に会ったからですね。

田中裕輔ロコンド社長(以下、田中):いやいや(笑)。シューズを作るなら、ということでお声がけいただきました。とはいえ、話をいただいたのはわずか1カ月前。すごいスピードで話が進みましたね。

WWD:反響は?

田中:いやー、すごいの一言です。こんなに反応があるなんて正直びっくりしてます。ユーチューバーのこと、あまり分かってなかったなあと。ヒカルさんはサーバーを落としたいと意気込んでて、それは止めてくれと(笑)。サーバーはかなり増強してるので、大丈夫ですが。

WWD:会見ではかなりの在庫を積んでいると明言していが、実際の数量は?

田中:それは秘密です。かなりの数量を作っているのは本当で、それを出すと株価に影響を与えかねないんで…。

WWD:今後は?

ヒカル:それは田中社長が全てを握ってます。僕は今回のロコンドで作った「リザード」のスニーカーは、かなりいいものができたと思ってます。だからすごく未来を感じていて、今後も「リザード」のシューズを作るならロコンドと思ってます。

WWD:ヒカルさんの中でブランドビジネスの勝利の方程式みたいなものは見えている?

ヒカル:まあ何となく。結局はニーズに合ったものを作ることかな、と。今はモノが溢れているのでシューズでも数千円の安い量産型の商品は売れない。1万円でもいいものだった売れる。特にシューズの場合は履きやすい靴をいつも履いちゃうじゃないですか。今回の「リザード」のシューズが狙っているのもそこです。あとはどう広めるかになるけど、そこは僕の得意分野ではあるので。

WWD:これまではユーチューバーがファッションブランド作ることは少なかった。それはなぜ?

ヒカル:ユーチューバーって基本、お金儲けがしたいんじゃなくて、楽しいことがやりたいんですよ。だからビジネスをする“大人”があまり周りにいない。なので誰から声がかかってコラボとかはあっても、自分からブランドを立ち上げるって人はいなかった。

WWD:ヒカルさんの成功で続く人は出てきそうですか?

ヒカル:僕が今後、さらに成功していったら後に続く人はいるかもしれません。そうなりたいとも思ってます。ただ、ユーチューバーだって、それぞれキャラや抱えているファンも違うので、誰もがデキるとは限らないとは思いますが。

WWD:アパレル企業がユーチューバーとコラボするために必要なことは?

ヒカル:金です。というのは冗談で(笑)、ぶっちゃけ面白さですね。ユーチューバーは常に面白いコンテンツを作りたいと思ってて、時代の流れを見て「今これだ」っていう瞬間に、すごい勢いで突っ込んでいく。いいものを作ってるだけじゃダメで、いいものをどのタイミングで、どう伝えるか、をすごく重視しています。

田中:僕はヒカルさんと一緒に仕事をして思いましたが、正直普通の会社には無理だなあと。とにかくスピードが本当に早い。やると決めたら、すごい勢いでどんどん突き進む。ロコンドの場合は僕が全部決められて、良くも悪くも軽く動ける会社なんで(笑)。

WWD:最後に新型コロナについてメッセージを。

ヒカル:僕もイベントができなくなったりして影響を受けています。今は世界的にも大きな問題になっていますが、早く収束することを願っています。今は明るいニュースが出にくい時期なので、何かしら明るいニュースを届けられればと思っています。

田中:冷静な危機感を持ちつつ、でも過度な自粛モードは控えたい。こんな時でも楽しいものは楽しい。そういったバランスが重要だと考えています。