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編集長はパリコレで何した?Vol.9 「シャネル」のツイードコート、「マックイーン」のペンダント、「LV」でローラに接近

 「このパリコレ連載、まだ終わってなかったのね」という突っ込みを謙虚に受け止めつつ、はい、今回が最終回です。パリから帰国後の2週間は、引き続き朝晩に体温測定しつつ(平均36.0℃)、外出は控えて(弊社もリモート業務推奨です)、3月16日発行の週刊紙「WWDジャパン」パリコレ特集の制作に勤しんでいました。

 さて、新型コロナに怯えつつのパリコレでしたが、結局、最終日までほぼ予定通り進行しました。これがあと1週間後だったら途中で中止になっていたでしょう。

 この日、実家の父からメールが届き「コロナが目を覚ましたよ」とのこと。不謹慎にふざけているのではなく、我が家のペットである亀のコロナが冬眠から目覚めた、という意味です。亀は世の中がどんなに騒がしくても平均気温が上がるときっちり目を覚まします。そんな、生物の揺るぎない本能や自然の力に今は励まされます。皆さま、春本番は近いですよ!

3月3日(火)10:30
今の「シャネル」はリアル?
物足りない?

 ヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)による「シャネル(CHANEL)」を“物足りない”と思う人もいるようですが、私はよりリアルなスタイルへとシフトしている今の「シャネル」はよい、と思います。

 そのシーズンの「シャネル」のポイントはツイードをどう使うか、に表れます。今季はスリムなロングコートなど体に沿うようなシルエットが気になります。細身だけど柔らくジャケットに“着られる”ことなく、自分のスタイルに取り入れやすそう。「シャネル」であっても“ブランドロゴを着る”のではなく、“自分らしく着る”。そんな今の女性の心理をヴィルジニーは汲んでいるのではないでしょうか?

 ちなみに「シャネル」のホームページには「INSIDE CHANEL」というブランドの歴史やコアバリューを楽しく学べるコーナーがあるのですが(これは英語とファッション用語の勉強にも最適です)、その中のムービーにたびたび出てくる女性同士が楽し気に散歩をする光景がショーを見ていて思い出されました。

11:30
「マックイーン」の展示会で
故マックイーンを思う

 キルトがひとつのテーマと聞いて、「あ、故マックイーンが好きで、大英帝国勲章を受け取った時にも着ていたキルトですね」と反応してしまいましたが、違いました。今季のキルトは、ハギレを一枚布につなぎ合わせる方のキルトです。なんでもかんでも故マックイーンに結びつけて考えるのはいい加減止めないといけません。彼が亡くなってから今年で10年になり、後を継いだサラ・バートン(Sarah Burton)は「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」のDNAを継承し、チームを作り・育て、成長させていますから!

 サラが引き継いだことのひとつはジャケットやコートの端正なシルエットです。そして、人の手の温もりを感じるキルトや刺しゅうがその端正なテーラードを飾るところがサラらしい。“LOVE”を感じるハートの刺しゅうやロケットペンダントなどの使い方もそう。表現方法は全然違うけれど、人間味があり、愛情深いところもサラは引き継いでいるな、と思います。故マックイーンのショーはフェティッシュで時にサディスティックでしたが、同時にいつも深い人間愛をそこに見ていました。

 ところで生前に「リー」と呼んでいなかった私は、今だにこの呼称を使うことができません。“亡くなったからって急に親しく振舞う”みたいだから。そんな、簡単に馴れ馴れしくはできないちょっとした緊張感が今もこのブランドにはあると思います。

14:30
「ミュウミュウ」を見ながら
ラフ・シモンズを考える

 ラフ・シモンズ(Raf Shimons)が「プラダ(PRADA)」グループに参画、のニュースについて国内外の業界人に意見を求めると賛否両論が返ってきます。私は、「ミュウミュウ(MIU MIU)」×ラフはお兄さんが妹のワードローブに口を出すようで??だけど、ラフの「プラダ」は楽しみ。「プラダ」の魅力のひとつである“インダストリー感”や“クラシックを大切にする姿勢”“優等生っぽさ”がラフのクリエイションと共鳴し未来を見せてくれそうです。なんて思いながら見た「ミュウミュウ」はむむむ、マキシ丈が多くていつもより大人っぽいです。余談ですが、ラフはやぎ座です。

15:30
「ジュンコ シマダ」で
トレンドをおさらい

 最終日の今日は、今シーズンの傾向を整理しながらショーを見ています。それでは「ジュンコ シマダ(JUNKO SHIMADA)」で2020-21年秋冬トレンドをチェックしてみましょう。

16:30
「ラコステ」のバッグは
ゴルフのキャリーケース!

 好きです、ルイーズ・トロッター(Louise Trotter)の「ラコステ(LACOSTE)」。ジェンダーレスなのに、着る人の個性を引き出すあたりにデザイン力を見ます。そしてゴルフをする身としては、ゴルフウエアにもいいよね、という目線で見ています。

18:30
全てをさらった
「ルイ・ヴィトン」

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のショー会場は、いつものようにルーブル美術館の中庭に建てたテントです。演出は年々スケールアップし、もはや一日限りの劇場のような存在で、興行でも価値がある内容になっています。今回は、国と年代を超えた民族衣装を着た200人の合唱団をバックにショーが進みました。ウッドキッド(Woodkid)とブライス・デスナー(Bryce Dessner)が作曲した新解釈のクラシック音楽も素晴らしい。今季の全てをかっさらっていくような強烈なインパクトを残したショーでした。動画でぜひご覧ください。

番外3月12日(木)
「WWDジャパン」最新号
「パリコレ特集」を校了

 「WWDジャパン」3月16日号ではパリコレを特集しました。悩みに悩んで決めた表紙の写真とコピーは「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のこちらです。多くの人が不安を抱え、気持ちがふさぎがちな今、このタイトルは重いよね、と思いつつ、パリコレで受け取った一番のメッセージがこれだったので決めました。詳しくはぜひ、手に取ってお読みください。