
2027年クルーズ・コレクションの第2弾は、上海でショーを開催した「マックスマーラ(MAX MARA)」を筆頭に、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「ヴァレンティノ(VALENTINO)」にフォーカス。全12ブランドの最新コレクションに迫る。このほか、米ロサンゼルスで26-27年秋冬コレクションのチャプター2を発表した「エルメス(HERMES)」でも、クリエイティブ・ディレクターの今という時代の捉え方を紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2026年7月6日号からの抜粋です)
「バレンシアガ(BALENCIAGA)」
新しい、定義できないハイブリッド
ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)は、身体の多様性について深く考察し続ける数少ないトップデザイナーの1人だ。その探求心から「バレンシアガ」の最新コレクションは、「アンサイズ」がコンセプト。テクノタフタやコットンポプリンは、着る人の好みに合わせて、身体から優雅に、あるいは控えめにゆとりを持って浮揚する。ピエールパオロは「アンサイズ」を「ファッションを愛する、さまざまな体形の人々へのアプローチ」と表現する。「服がさまざまな体形にフィットする。それが私にとっては重要だ」と語る。今年のメットガラでプロバスケットボール選手のステフィン・カリー(Stephen Curry)の衣装を担当したことが大きな転機となった。実際ゴージャスなドレープのイブニングドレスの下にはジーンズを合わせたり、長いトレーン付きのレザーシャツを羽織ったり、体に巻きつけるための長い裾が特徴的なジャージーTシャツを合わせたりしている。また、タフタのボンバージャケットとスカートは、わずか607g。コート2着を含む5枚重ねのハイパーレイヤードでさえ、たったの2kgという軽さも特徴だ。
多様性は、ストリートからクラシックなテーラリングへと急速に移行しているメンズウエアでも反映した。彼は、ストリートとテーラードの中間を探求。黒のレザーのトラックスーツ、ウインドブレーカーと融合したテーラードジャケット、スニーカーとブーツの中間のような新しいスエードのフットウエアが代表例だ。「定義できないハイブリッドが好き。それはつまり、新しいものだから」とニヤリと笑う。
イタリア人のピッチョーリは、スペインのクチュリエだったクリストバル・バレンシアガ(Cristobal Balenciaga)と同世代のデザイナーの多くは独自のシルエットを基盤としたのに対し、バレンシアガは繭やバルーン、サック(袋)、ベビードールなど、すでに存在する無数のシルエットを探求し、常に軽やかさと動きやすさを最優先にしてきたと考えている。「彼は、私たちが今日ファッションを見る方法を確立した。クリストバルが研究したシルエットはどれも、身体に近くもあり遠くもあり、だから動きやすかった。だから私は、軽やかさ、動きやすさ、そして身体を主役に据えるというコンセプトを実現したい。形やボリュームを扱うが、カッティングこそ緻密に計算する。形を作るために内側に構造を与えることはしたくない」。ピッチョーリはまもなくパリ・オートクチュール・ファッション・ウイークで、「バレンシアガ」で初のクチュールコレクションを発表する。
「ヴァレンティノ(VALENTINO)」
いたずらっぽく、ハイ&ローを融合
アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)は新コレクションに“いたずらっぽい雰囲気”を漂わせた。レオタードにプリントしたり、ベースボールキャップに刺しゅうした「Villain Teen(悪役の10代)」という言葉が、その生意気な姿勢をはっきりと物語っている。ブランド名をもじったこの言葉についてミケーレは、「美を通した、ちょっとした逸脱への誘い」であり、「子どものような心を持ちつつも、少しばかり不遜な態度を持つ人たち」という意味と語った。「無意識のうちに自分のことを言っているのかもしれない。先日、自分は『ちょっと優しい悪役なんじゃないか?』と思ったんだ。自分の好きなように振る舞っているから」とミケーレ。「でも豪華さと距離感に満ちていたものが、ある種の遊び心や軽やかさを取り戻すのは良いことだ」という。
その言葉通り彼は、ハイ&ローを融合した。例えばボックスシルエットのジャケットは、フリースのスエットシャツやデニムスカートとコーディネート。カレッジ風のストライプシャツやカーディガン、繊細なシースルーブラウスはジョガーパンツにタックインした。トラックスーツは豪華なスパンコールジャケットと合わせ、ハイヒールのスエードブーツや新作の“ロックスタッズ”パンプスで足元を引き締めている。ミケーレは、新世代のための“「ヴァレンティノ」2.0”を創り出そうとしている。新世代は、ブランドの貴族的でジェットセッター的なイメージを新たな視点で見つめ、クールで気取らない精神、そして「美しいものへの自由な感覚」を体現していると考えている。「50年前と、日々のスケジュールは大きく変わった。当時のドレスは、旅行や展覧会のオープニング、あるいは何度も着替えるような特別な機会のために存在していただろう。当時は、習慣的な儀式に縛られていたようにも思う。しかしワードローブにおけるクロスオーバーは、もはや当たり前。誰もが決まったルールに従って服を着るわけではない。美しく快適なものを自由に着こなす、その多様性は興味深い」。
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