米高級百貨店の運営および店舗の土地開発などを行うサックス・グローバル(SAKS GLOBAL)は6月26日、再建手続きが完了したことを明らかにした。同社は1月13日、日本の民事再生法に当たる米連邦破産法第11条の適用を申請していた。今回の手続き完了を機に社名をエグゼンプラー・ラグジュアリー・グループ(EXEMPLAR LUXURY GROUP以下、ELG)に変更し、新たな所有者の下で事業の立て直しを図る。ここでは、同社の成り立ちや再建計画、委託販売が増えることの是非などについてまとめた。(この記事は「WWDJAPAN」2026年7月6日号からの抜粋です)
サックス・グローバルは、米百貨店サックス・フィフス・アベニュー(SAKS FIFTH AVENUE)などを擁するカナダの小売り大手ハドソンズ・ベイ・カンパニー(HUDSON'S BAY COMPANY以下、HBC)が2024年7月、米百貨店ニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)やバーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)を運営するニーマン マーカス グループ(NEIMAN MARCUS GROUP以下、NMG)を26億5000万ドル(約4266億円)で買収して誕生した。HBCを率いるリチャード・ベーカー(Richard Baker)会長兼最高経営責任者(CEO)がエグゼクティブ・チェアマンに、CEOにはマーク・メトリック(Marc Metrick)=サックス・フィフス・アベニューCEOが就任。ベーカー=エグゼクティブ・チェアマンは当時、サックス・グローバルは年商100億ドル(約1兆6100億円)規模になる見込みと語っていた。しかし期待したように売り上げは伸びず、ECとの競争激化やインフレの長期化による百貨店離れ、競合の買収費用が重くのしかかったことによる資金繰りの悪化などで経営破綻に陥り、前述のとおり破産法第11条の適用を申請。こうした事態を受け、メトリックCEOおよびベーカー=エグゼクティブ・チェアマンは退任し、買収以前にNMGのトップだったジェフロイ・ヴァン・ラムドンク(Geoffroy van Raemdonck)前CEOがサックス・グローバルのCEOに就任。債権者から17億5000万ドル(約2817億円)の資金を確保し、営業を継続しながらの事業再建を目指していた。
ELGの主な所有者は、再建手続きを先導した米投資会社ペントウォーター・キャピタル・マネジメント(PENTWATER CAPITAL MANAGEMENT)とブレースブリッジ・キャピタル(BRACEBRIDGE CAPITAL)で、ELGの取締役会の代表者を2人ずつ指名できる。ヴァン・ラムドンクCEOは続投し、取締役会にも加わる。また社外取締役として、米大手化粧品小売店アルタビューティ(ULTA BEAUTY)のCEOを務めていたデイヴ・キンベル(Dave Kimbell)と、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)のワイン&スピリッツ部門の会長兼CEOを務めていたフィリップ・シャウス(Philippe Schaus)を迎えている。
ELGは、「資本提携先や主なステークホルダーの全面的な支援を得て、債務を75%近く削減し十分な流動性を確保するなど、バランスシートを大幅に強化することができた」と声明を発表。ヴァン・ラムドンクCEOは、「(再建手続きの完了という)重要な節目は、当社の事業、傘下の高級百貨店、そしてチームの底力を改めて示すものだ。顧客への揺るぎない献身を軸に、明るい未来を見据えている。今回の転機を可能にしてくれた顧客、ブランドパートナー、資本提携先、そして従業員による支援と信頼に深く感謝している」と語った。
再建計画では委託販売やコンセが増加
経営難に陥っていたサックス・グローバルには、取引先であるラグジュアリーブランドやアパレル企業が多額の援助をしていた。裁判所に提出された文書によれば、同社に対する無担保債権者および金額は、シャネル(CHANEL)が1億3600万ドル(約218億円)、ケリング(KERING)が5990万ドル(約96億円)、カプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS)が3330万ドル(約53億円)、メイフーラ(MAYHOOLA)が3320万ドル(約53億円)、コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)が3000万ドル(約48億円)などとなっている。前述のように、ELGの債務が75%以上削減されたことを踏まえると、債権の大半は回収できていないだろう。事業再建および今後の取引のために必要な措置だとはいえ、これを飲み込むのは容易ではなかったはずだ。また取引先への支払い滞納も続いていたため、警戒したブランド側から納品停止の申し入れが相次ぎ、一時は在庫レベルが危うくなる事態に。ヴァン・ラムドンクCEOは破綻手続きの合間を縫い、ブランドとの関係性の修復や取引の継続を訴えるべく奔走する羽目となった。
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