フランス発名門銀食器「クリストフル(CHRIST0FLE)」は7月29日、ジュエリーデザイナーのシャルロット・シェネ(Charlotte Chesnais)と協業した新作“カルーセル”を発売する。同ブランドは、1830年にパリで創業した老舗ブランドで、伝統的なクラフツマンシップと現代的なデザインを融合させ、テーブルウエアに革新をもたらし続けている。2015年に登場したカトラリーセット“ムード”は、堅苦しいテーブルセッティングの概念を覆す自由度の高いカトラリーの在り方を提案。エッグ型のケースは、オブジェとしても楽しめヒット作となり、シリーズ化されている。その“ムード”に続くカトラリーセットが新作“カルーセル”だ。
8年前の出会いからプロジェクトに発展
新作発表イベントでは、ハムディ・シャティ=クリストフル最高経営責任者(CEO)とシャルロットが”カルーセル”開発秘話について語った。シャティCEOは、「『クリストフル』は2世紀近くにわたり、シルバーと向き合いながら、職人とともに技術革新を続けてきた。デザイナーのインスピレーションを職人が形にし、時代に合わせて進化してきた」と語る。これまでも、アンドレ・プットマン(Andre Putman)やマルセル・ワンダース(Marcel Wonders)など名だたるクリエイターと協業してきた。シャルロットとの協業は約8年前の出会いがきっかけだったという。「彼女とじっくり対話を重ね、相応しいパートナーという確信に変わった。説明するのは難しいが、点と点とがつながる感覚だった」と同CEO。ティーンの頃からカトラリーに関心があり、「クリストフル」の歴史とサヴォワフェールに尊敬を抱いていたというシャルロットは、「いつか協業したいと周りにも話していたら、願いが叶った」と微笑む。
“ムード”のコンセプトをアートの域まで昇華
“カルーセル”はヒット商品“ムード”のコンセプトを引き継ぎ、アートピースとして昇華した作品。シルバーとゴールドのパーツからなる宇宙船をイメージさせるケースは、まるで彫刻のようだ。手前のパーツを回すとカトラリーが出てくる仕掛けになっている。商品名のカルーセルは、この回転する構造から。鏡面仕上げのシルバーは周囲を映し込み、開閉によっても印象が変化する。デザインについてシャルロットは、「私の好きな彫刻やアートからの影響もあるが、直接的なモチーフらというよりは、私の日常が着想源」と説明。彼女が好きな彫刻家バーバラ・ヘップワース(Barbara Hepworth)やコンスタンティン・ブランクーシ(Constantin Brancusi)をはじめ、自然や鎧、子どもが好きな映画「スターウォーズ(STAR WARS)」といったさまざまなイメージが重なり合い、独自のフォームを生み出したという。シャティCEOは、「商品を見た瞬間に『クリストフル』だと分かること。そして同時に、シャルロットのデザインだと感じてもらえることが重要だった」と語る。“カルーセル”の流れるような曲線や有機的なフォームには、両者に共通するDNAが息づいている。「クリストフル」が大切にしているのは、ブランドのロゴではなく造形そのものだ。「あの滑らかなフォルムの造形美そのものが、シャーロットらしさだ」と同CEO。
ブランドの未来を切り開くコラボレーション
カトラリーの製造は、ジュエリーとは全く異なる。ジュエリーは鋳型製造が中心だが、「クリストフル」では、平らな金属板を叩いて有機的な曲線とボリュームを生み出す。毎日使う道具としての機能性も必要だ。“カルーセル”のカトラリーは、ケース内に吊るせるように一部くり抜いたデザイン。長い歴史においてもこのような独創的なデザインは前例がなく、専用工具の開発から着手し、新たな製造方法を生み出したという。 シャティCEOは「誰も完成形を想像できなかった。それでもシャルロットと職人を信じ、新しい扉を開いた。アートとは、予期しない驚きを生み出すこと。そのために職人一人ひとりが技術的な挑戦を重ねた」と話す。クリエイティビティとクラフツマンシップが互いに刺激し合い、新たな技術開発につながった。このコラボレーションは、伝統を守るだけでなく、新しいクリエイションを形にすることでブランドの未来を切り開く「クリストフル」の姿勢を象徴している。