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イオン傘下「コスメーム」新社長が挑むセミセルフ第2章 キーワードは“再現性”

PROFILE: 渋江修/コスメーム社長

渋江修/コスメーム社長
PROFILE: (しぶえ・しゅう)1969年12月8日生まれ。92年にコーセー入社。百貨店営業を中心にキャリアを重ね、2020年コーセートラベルリテールの社長兼CEO、25年コーセー化粧品販売の取締役百貨店推販部長に就任。26年4月から現職 PHOTO:KOJI SHIMAMURA

イオングループの化粧品セレクトショップ「コスメーム」が次の成長フェーズに踏み出した。全国のイオンモール17店舗で展開する同店は、「シャネル(CHANEL)」や「ディオール(DIOR)」「資生堂(SHISEIDO)」「RMK」など、百貨店で取り扱う化粧品(デパコス)をそろえる。2011年の立ち上げ以来、“自由に選べるデパコス”を強みに成長してきたが、15年を経て業態を取り巻く環境は大きく変化した。そんな転換期に白羽の矢が立ったのが、コーセー出身の渋江修社長だ。プレステージブランドの愛用者づくりに長年携わってきた渋江社長は、その知見をどうコスメームの成長につなげるのか。着任から2カ月、その構想を聞いた。

イオンの「憧れの領域」を担う

WWD:今年4月に就任した。メーカーから小売業へ。ギャップはあったか。

渋江修社長(以下、渋江):店頭スタッフにわれわれの思いを託して行う愛用者づくりという本質は同じだ。長年「コスメデコルテ(DECORTE)」や「ジルスチュアートビューティ(JILL STUART BEAUTY)」「アディクション(ADDICTION)」でブランドの愛用者づくりをやってきたが、今の大きな夢もコスメームの愛用者づくり。各ブランドへのあいさつも少しずつ始めているが、目指す方向性は一緒だと感じている。

WWD:イオンから期待されている役割は。

渋江:僕の認識では、イオンは多くの事業会社を抱えるメガホールディングス。全てのお客さまの生活にイオンが寄り添おうとしている。その中で、コスメームはイオンの“憧れの領域”を託されていると認識している。強みはイオンモールが持つ集客力と、世界のトップブランドを幅広く取りそろえていること。そこをしっかり磨いていくことで、イオンは全てのお客さまに寄り添い、期待に応えられるグループ企業になっていく。普段の頑張りへのご褒美として「少し良いコスメを買いたい」と思った時、その受け皿がなければ、顧客は百貨店などへ足を向けることになる。

WWD:“憧れの領域”を確かなものにする。

渋江:世界のトップブランドをそろえる方向性は変わらないが、店づくりを少しずつ変えていきたい。例えばVMDも“かっこよく”していく。最終的には、コスメームならではのブランドイメージの確立につなげていきたい。

WWD:足元のセミセルフ業態にはどのようなニーズがあるのか。

渋江:セミセルフ業態は踊り場を迎えている。立ち上げ当時は、ブランドを横断して自由に商品を選びたいという消費者ニーズに応える新しいビジネスモデルだったが、現在は競合他社の進出やECなど選択肢が広がり、“自由に選べる”のは当たり前となった。選べる環境が整った今、お客さまのニーズは「本当に自分に合うものを選びたい」「失敗したくない」へと変化している。これからは自由さを残しながらも、一人ひとりのお客さまに合わせた最適な商品を提案できることが求められる。その進化が必要なタイミングを迎えている。 

化粧品は「買ってからがスタート」
どこよりもきれいになれる店を目指す

WWD:それを踏まえ、どんな店を目指すのか。

渋江:数あるセミセルフ業態の中でも飛び抜けた存在、「どこよりもきれいになれる店」を目指す。その差別化の価値として“再現性”というキーワードを今走らせている。これからの戦略や活動、全ての事柄はこのキーワードに基づいていく。

WWD:“再現性”とは。

渋江:店頭スタッフがメイクをしてきれいになるのは当たり前。大事なのは、お客さま自身が家に帰って同じレベルでできること。その状態まで持っていくのが“再現性”だ。僕の持論だが、化粧品は“買ってからがスタート”。買って、使って、きれいになって、買う理由の目的を成し遂げて初めて、「この商品をこの店で買ってよかった」という価値につながると思っている。

WWD:スタッフの接客が戦略の柱となる。

渋江:一番大きな柱だ。スタッフによる“再現性”の実現が最優先事項。接客レベルを根底から変えていく。 

WWD:そのためにまず着手することは。

渋江:本社内の教育チームの強化や教育プランの見直しを行う。その前段として今、“再現性”というキーワードを全員に浸透させることを進めている。人の考えを変えることが一番難しい。この2カ月間で北海道から沖縄まで全店を回り、店責任者やスタッフとも直接話をしたのはそのためだ。最後のバトンを持つのは、お客さまと接する店頭スタッフ。26年3〜8月期(上期)で意識と行動変容を進め、具体的な戦略やプロモーションは26年9〜2月期(下期)から形にしていく。

WWD:ビューティの小売業界では販売スタッフの若年化や離職率が課題だ。

渋江:それはコスメームも同じ。だからこそ、どの店舗でも同じ接客レベルを提供できる教育チームの体制構築が必要不可欠。そのうえで、何度も足を運んでくださるお客さまを増やしていきたい。コーセーでは、自分のお客さまがつくことが店頭スタッフの喜びだと教わった。今後は表彰制度などを整えながら、スタッフのモチベーションを高めていけるような環境づくりも目指す。

WWD:スタッフの活動で強化するカテゴリーはあるのか。

渋江:お客さまの定着率が高いスキンケアに注力する。百貨店のようにローカウンターでじっくりカウンセリングというわけではないが、メイクサービスをする際に自然にクレンジングや次に使う美容液の必要性を伝えていく。指名の口紅だけを付けて「きれいですね。5000円です」で終わりではない。接客の中でお客さまとの継続的な関係づくりを目指す。

WWD:会員管理システムもテコ入れを?

渋江:CRMを強化する。これまでもアプリを活用してきたが、今後はより細かな顧客管理を行い、お客さま一人ひとりに合わせた情報提供やサービスにつなげていく。CRMの観点からいうと、お客さまの利便性向上のためのEC導入やOMOの取り組みも必要だと考えている。

WWD:出店や取り扱いブランドの計画は。

渋江:エリアというよりマーケットのポテンシャルを見ている。競合がいてもマーケットが大きければ可能性はある。要は空き領域に対してコスメームがチャレンジできるかどうか。品揃えでは高級ラインのフレグランスを強化したい。百貨店で支持されているようなブランドとご縁があればと思っている。

目標達成で好スタート
着任1年目は土台づくりの年

WWD:足元の売り上げは。

渋江:2026年3〜5月期は既存店を含め順調に目標を達成している。もちろん、これまで積み重ねてきた現場や本部メンバーの頑張りがあってこその結果だが、この2カ月間で少しずつ意識の変化も生まれている。現場からは「変わっていきそうだ」「頑張りたい」という声も聞こえ、リピートに向けた話し合いが増えるなど、自ら考えて行動する動きも出てきた。そうした変化が生まれている中での目標達成。社内には前向きなムードが広がっていると感じる。

WWD:現在の売れ筋は。  

渋江:圧倒的にメイクカテゴリーが強い。その中でも、「シャネル」「ディオール」などの外資ブランドがけん引している。

WWD:26年はどんな1年にしたいか。

渋江:26年は土台づくりの年だと思っている。本格的に戦略が形になってくるのは27年から。再現性を全社員に伝えながら、まずは考え方を変え、具体的な行動につなげていきたい。社長の役割は社員に夢を見させること。30年に掲げた姿に向かって、みんなが期待を持って進める1年にしたい。

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