デニムの着こなしが“きれい目”にシフトしています。「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の2026年春夏コレクションでは、スリムジーンズが登場しました。レザージャケットを羽織って、リッチ感を醸し出しています。このようにラグジュアリーブランドが“格上”のデニムルックを打ち出す中、リアルクローズ市場では普段着とおしゃれ着の中間ゾーンを狙ったような“セミドレッシー”なデニムが豊作です。
「愛着」を掻き立てる岡山デニム
今季の注目は、上下そろいのデニム・オン・デニム。略して“デニデニ”です。岡山県児島の職人技で知られる「ジャパン ブルー ジーンズ(JAPAN BLUE JEANS)」は、“デニデニ”をきれい目に着こなすスタイリングを提案しています。“スタンダード”レーベルは名前の通り、トレンドに左右されないシルエットが柱。ボタンやステッチなどにこだわりのディテールを盛り込んでいます。 “セルビッジ”レーベルでは、経年変化を通してデニムを育てる楽しみを提案します。インディゴブルーの深い“デニデニ”は、色落ちも魅力。「愛着」を掻き立てる仕掛けもトレンドの1つです。真っ白いシャツはインディゴブルーを引き立て、“きちんと感”を印象づける好パートナーです。
ジャケットの代わりに、デニムシャツを選べば、暑いシーズンでも過ごしやすくなります。あえて色落ち加減や風合いをずらす着方は、上下のコントラストを際立たせるチョイス。経年変化を写し込んだ“リデザイン”レーベルなら、はき込んだビンテージデニムのような表情を、買ったその日からまとえます。
同社によると今季は、「ワイドやストレートなど、ややゆとりのあるシルエットの動きがよく、特に立体感のあるデザインやルーズなバランスのアイテムが人気」だそう。以前に比べて、加工感を抑えたクリーンな印象のデニムを求めるお客様が増えているのも近ごろの変化ポイント。きれい目スタイリングに取り入れられるケースが多く、「全体的に落ち着いた雰囲気のデニムが支持されている」そうです。
デニムonデニムのお手本は
「リーバイス」のキャンペーンに登場したロゼの着こなし
従来の“デニデニ”はボーイッシュに見えがちですが、近ごろはセンシュアルなムードに整えるアレンジが広がってきました。ランジェリー風ウエアを用いる“インティメイト”スタイルのトレンドとも相まって、デニムのストリート感をフェミニンに落としこむスタイリングがポイントです。
お手本は、「リーバイス(LEVI'S)」のキャンペーンビジュアルに登場した、K-POPスターのロゼの着こなしです。涼やかな色落ち加工を施したデニムのジャケットとパンツはビンテージ感がある一方、インナーはコンパクトなタンクトップでヘルシーに肌見せ。ジャケットを肩から落とすことでデコルテのラインも引き立たせています。キャミソールトップスと組み合わせたコーディネートでは、インティメイト感がさらにアップ。
実際にロゼが着用した“ルーズブーツジーンズ”は売り場でも好調だそう。リラックス系のシルエットに加え、ローウエストのスリムフィットやたっぷり幅のバレルには底堅い需要があるようです。日本と韓国向けに作られたグランジムードの“ソフトグランジ”シリーズも好調な品動き。かつてはシーズンごとにスキニーやバギーといったトレンドが起きていたデニム業界ですが、今は好みの分散化が進んでいる様子がうかがえます。
異なるカラーを組み合わせてこなれ感
全身をインディゴブルーでまとめる従来の“デニデニ”スタイルに代わって、デニムっぽすぎない見え具合の着こなしが支持を広げています。
大人のこなれデニムを先導してきた「ロンハーマン(RON HERMAN)」は、異なる色をミックスさせたスタイリングを提案。ヨーロッパのデニムブランド「ジーネリカ(JEANERICA)」のジーンズを日本人の体型に合わせて別注しました。ジャケットはホワイトで、パンツのネイビーと好コントラストを成り立たせています。
「ジーネリカ」のブランド名は、“ジーンズ”と“アメリカ”を組み合わせた造語で、古典的なアメリカーナとモダンなヨーロッパの融合がこのブランドの持ち味。“欧×米”が生むこなれ感に加え、多様性に富んだ提案も支持を受ける理由です。
ブラックのデニムパンツは、オンオフ兼用で着まわせます。トップスも黒でそろえれば、シックな印象に。ロサンゼルス発の「マザー(MOTHER)」は程よいストレッチ感の伸びやかな着心地でファンを増やしています。“ザ ニュービー アンクル デニム パンツ”は裾テーパードとアンクル丈のおかげでスッキリした着映え。腕と足首のダブル見せで真夏も爽やかに過ごせそうです。
「アールエイチ ヴィンテージ(RH Vintage)」ラインの白いデニムパンツはシルエットにほのかなクラシック感が漂います。ストライプシャツで合わせて、華やぎと大人感をプラス。靴も白でそろえて、クリーンな雰囲気にまとめました。
同社からは「以前よりもローライズ、フレアシルエットが増えている」という声が届いています。フレアは大人がトライしやすいワイドシルエットの微フレアが買われているようです。「ジーネリカ」からもそういったシルエットが提案されています。
新顔のデニムはぞれぞれのアプローチで普段着感を薄め、ドレッシーにも着こなしやすい点を打ち出しています。全体的な傾向は“シーンフリー”。さまざまなシーンに対応する着こなし提案が目立ちます。お気に入りの服を頻繁に着る“愛着スタイリング”を好む人が増える中、丈夫でイージーケアなデニムウエアはさらにバリエーションが広がっていきそうな気配です。