帝国ホテルは、京都・祇園に国内で4軒目となる「帝国ホテル 京都」を3月5日に開業した。1996年の「帝国ホテル 大阪」以来、30年ぶりの新規開業となる。
祇園甲部歌舞練場の敷地内にあり、1936年に竣工し国の登録有形文化財ならびに歴史的風致形成建造物に指定されている「弥栄会館」の一部を保存活用した。東京劇場や大阪松竹座など劇場建築の名手といわれた大林組の木村得三郎が設計し、劇場として長年愛された歴史的建築物をリノベーションし、地上7階、地下2階建て全55室のスモールラグジュアリーホテルとして生まれ変わった。
弥栄会館がある祇園町南側エリアは、京都市の歴史的景観保全修景地区に指定されており、新築建造物の高さは原則12m以下という制限が課されている。そこで高さ31.5mの弥栄会館の南面と西面の外壁と構造体を残しながら増改築することで景観を継承し、祇園の伝統的な街並みと調和する外観となることで特例が認められた。
外壁のタイルやテラコッタレリーフも可能な限り再利用している。外壁タイルは損傷を与えないように取り外して付着したモルタルなど除去して貼り直す「生け捕り」の手法を実施。全体の1割程度の約1万6000枚を再利用した。また90年前の開館当時からある5階の外壁部分レリーフのテラコッタのほとんどを再利用している。
ホテルの内装デザインを手がけるのは、現代美術家の杉本博司氏とともに創設した「新素材研究所」の建築家・榊田倫之氏だ。
館内には、1923年にフランク・ロイド・ライトによる帝国ホテル2代目本館に使われた大谷石、弥栄会館時代に使われたイタリア北部の赤色大理石など、建物の時間と記憶を継承する意匠が施されている。山桜、神代欅、栗、トチノキなど国産の希少な銘木をふんだんに使用された55客室のうち8室は、帝国ホテルとして初となる畳の部屋も設えた。料金はテラスつきのインペリアルスイートで1泊1室2人300万円。スタンダードタイプ1泊1室2人16万4500円から。
ホテルに併設されたバーは2箇所。外来利用も可能な本館7階に位置するクラシカルなメインバー「オールドインペリアルバー」と宿泊者専用のホテル屋上にある「ザ ルーフトップ」だ。帝国ホテルで100年以上愛されているオリジナルカクテル「マウント フジ」をベースに抹茶や水尾産柚子など京都の素材で再構築した「マウント 比叡」などが楽しめる。