閉店したミラザ新宿店。ウインドーには春の新作が飾られ、いますぐにでも営業が再開できそうなほど商品が残されている(2月4日に撮影)
英アルカディアグループ傘下の「トップショップ」が1月31日に突然、日本の全5店舗を閉鎖した。投資ファンドのJBFパートナーズ(以下、JBF)65 %とラフォーレ原宿などを展開する森ビル流通システム(以下、森ビルRS)が35%出資し、資本金3億3000万円で2008年10月に合弁で設立したT’s(ティーズ)が日本で独占販売を行っていたが、苦戦。新たな出資者の下で再スタートを切るべく動いていたが、売り上げ不振や円安がそのシナリオを崩してしまった。ティーズに何が起こっていたのか?今後の行方はいかに?
閉店した「トップショップ」ミラザ新宿店の入り口に貼られた閉店のお知らせ
閉店の噂があったラフォーレ原宿内のコンセプトストアと、新宿駅東口にある日本旗艦店であるミラザ新宿店は実際、2月22日、2月15日での閉店が決定していた。しかし、売り場面積1000m²、年商20億円を目指した新宿店の昨年12月の月商が1000万円を割り込んだという話もあってか、閉店予定日を待たずに、全店を1月31日で閉店した。直近の年商は約35億円だった。
某デベロッパーは「ティーズ側から知らされたのは前日の30日。青天の霹靂だ。閉店は半年前に話し合う事項。春夏の施策をティーズとも話していて、突然閉店するのは不可解」と困惑を隠せない。現在では、「ゾゾタウン」に出店するオンラインストアだけが営業を継続している。
「トップショップ」の日本展開は、ラフォーレ原宿から始まった。06年には国内独占販売契約が交わされ、「トップショップ/トップマン」として日本1号店を開いた。2週間ごとに新商品を投入する一方で、売れ行きや品ぞろえの要望などを週次でレポートするなど、きめ細かい対応により、年間売上高は予想の3倍の4億5000万円を記録。英本国アルカディアの「日本でのマーケティング拠点」としての役割も果たした。
日本でのFC(フランチャイズ)パートナーには、バイアウト系投資ファンドのJFBを選択。森ビルRSとの合弁という枠組みが決まった。「国内主要都市に10店舗以上の出店を目指す」とともに、ラフォーレ原宿店を1階部分まで広げ、売り場面積を拡張。10年にはミラザ新宿に日本初の旗艦店を出店した。
ウインドーには春の新作が飾られ、いますぐにでも営業が再開できそうなほど商品が残されている
「トップショップ」の魅力は、デザイナーズコラボ品を含め、モードの匂いのある旬の商品をリーズナブルに買える点だ。しかし、日本の特性や売れ行きに合わせた商品構成ができなかった。ファストファッションに詳しい流通コンサルタントの齊藤孝浩ディマンドワークス代表は、「ファストファッションの生命線は商品鮮度や商品回転率だ。「トップショップ」は日本市場で本来の実力を発揮できなかった」と指摘する。
「トップショップ」の陰に隠れているが、韓国イーランドも店舗を閉鎖している。1月31日にそごう横浜店の「ミッソ」を閉店、今月中にはららぽーと横浜の「スパオ」も閉める見通しで、国内の店舗は全て消える。日本法人イーランドジャパンは「今後の日本での展開については協議中で今は何も話せない」としている。中国市場で主力ファッションブランド「イーランド」を急成長させたことで注目され、13年春の日本上陸の際には Kポップスターを起用したプロモーションでも話題になった。「ミッソ」 では「ザラ」、「スパオ」では「ユニクロ」を徹底的にベンチマークしたMDや価格設定だった。しかし、初年度に出店した「ミッソ」「スパオ」の販売が伸ひず、5店舗で早くも頭打ちになっていた。横浜、仙台、福岡にとどまり、東京や大阪に出店することもなく、退くことになった。