全豪オープンの1回戦で、大坂なおみが個性的なユニホームでコートに立ったのは、記憶に新しいだろう。他メディアによると大坂は、「ファッションが大好き。特別なウエアを着ることは、朝起きてコートへ向かうためのワクワク感を生み出してくれる」と語り、コートに立つ自分を「着飾って何かを成し遂げるバービー人形のよう」と表現する。
あの衣装は、実はパリで29日まで開かれていた2026年春夏オートクチュール・ファッション・ウイークに参加したデザイナーによるものだった。
大坂なおみの衣装は、
24-25年秋冬クチュールから
そのブランドの名前は、「ロバート ウン(ROBERT WUN)」。デザイナーのロバート・ウンは香港で生まれ、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、2014 年に自身の名前を冠したブランドを設立した。
ロバートはブランドのインスタグラムで、「ナオミとスポーツの大ファンとして、1年前に発表した24-25年秋冬コレクションをベースに、彼女と、彼女の試合で5年前(2度目の優勝を遂げた21年大会の試合中)にチョウが顔に止まった瞬間を意識してデザインした」と語っている。
ディストピアな世界と迫力で
クリエイターの勇気を賞賛
そんな彼の26年春夏オートクチュール・コレクションは、「勇気」をテーマに三部構成で創造の旅とクリエイターの感情を描いた。
会場は、パリのシャンゼリゼ通りにあるキャバレーの「リド(LIDO)」。ロバートはそこに巨大なデジタルサイネージパネルを設えた。序盤は、白黒の雲がモクモクと湧きあがるシーンを背景に、白黒の絵が描かれた本から夢が生まれる様を描く。雷鳴轟く中盤は、現実との対峙。ベルベットを多用して、創造物の価値を問いた。そして終盤は、外的・内的なプレッシャーと闘うクリエイターの決意を称えたという。ロバートは、「それぞれのルックは、インスピレーションを受けること、求められること、そして前進する勇気を持つことという感情の3つの段階を表現している。私は、クチュールは夢、夢を見る力、そして夢を見続ける意志を反映しているからこそ、今もなお存在していると信じている。クチュールは、クリエイターの勇気と、創造への純粋な意志によって存在している」と語る。
洋服は、重さが40kgもあるブライダルドレスなどインパクト絶大。ディストピアやSF的な未来を彷彿とさせる重厚なものばかりだ。顔を覆い隠すような襟、クリスタルのフェイスマスク、解剖学的に誇張した胸当て、空気力学に基づいた帽子、尖った肩、裾が長く伸びるフィッシュテールスカートには時折、心臓を突き刺すような矢や剣も登場。時に魔女のように、時に戦士のように感じられるドラマチックで彫刻的なクチュールは拍手喝采を浴びた。幾多の困難を克服してたどり着く世界を描いているのだろう。
全豪オープンは途中棄権したが、大坂もまた困難を経て、最近は世界ランキングを上げてきた。そんな境遇から、ロバートの洋服を選び、纏ったのかもしれない。