三越伊勢丹ホールディングスの2025年4〜9月期連結業績は、総額売上高が前年同期比3.7%減の5962億円、営業利益が同9.8%減の314億円だった。前年に急伸した免税売上高の反動減が大きく、減収減益となった。一方、国内客の売上高は識別顧客の買上げ拡大策によって拡大し、利益の減少を補填した。純利益は同15.7%増の293億円。関係会社株式の売却益が寄与し、上期として過去最高を更新した。
国内百貨店の売上高は前年同期比2.8%減の5270億円。免税売上高は同25.3%減の644億円と落ち込んだ。前年のインバウンド特需に対する大幅な反動が4〜7月に集中的に表れたが、8〜10月では同1%減、10月単月では同3%増とプラスに転じた。海外外商の売上高については、専任チームによる対応強化により同13%増となった。
国内客は「年会費無料」プランで識別進む
国内客売上高は前年同期比1.5%増の4625億円と堅調に推移した。エムアイカードの年会費無料プランの「ベーシック」導入などによって、識別顧客数は前年同期比10%増の794万人、識別顧客売上は同4%増と順調に積み上げた。そのうち年間300万円以上を購入する上位顧客の売上高は同11%増加するなど、CRMやパーソナル提案の強化が奏功している。
店舗別では、免税比率の高い伊勢丹新宿本店は同2.9%減の1924億円、三越銀座店は同2.6%減の577億円と、いずれも反動減の影響を受けた。国内客比率が高い三越日本橋本店は同1.1%増の771億円と前年超えを維持した。
伊勢丹新宿本店は通期で過去最高4250億円を計画
26年3月期通期の見通しについては、上期の免税売上高減少の影響から、総額売上高を150億円下方修正して前期比横ばいの1兆3050億円とした。営業利益は、販売管理費を30億円削減することにより、計画値通り過去最高の780億円(前期比2.2%増)を据え置いた。当期純利益は20億円上方修正し、620億円(同17.4%増)とこれも過去最高を見込む。伊勢丹新宿本店の売り上げについては8月以降、前年水準に戻していることから、通期売上高は前年(4212億円)を上回る4250億円を計画する。