ジュエリーブランド「ビズー(BIZOUX)」から、「源氏物語」をテーマにしたジュエリーが登場する。同ブランドは、2009年に創業したカラーストーンに特化したブランド。創業時から、“人も宝石も個性が魅力”として捉え、世界20カ国以上から仕入れた100種類以上の色石を使用したカラフルなジュエリーを提案している。
「ビズー」は小説家の山内マリコと協業し、“Tales of Her 物語を纏うジュエリー 源氏物語の彼女たち”という特別企画を発表。映画化された小説「アズミ・ハルコは行方不明」「あのこは貴族」などで知られる山内は、デビュー以来、時代ごとに変化する社会における女性のポジションや価値観などについて描いてきた。今回のコラボでは「源氏物語」に登場する4人の女性をテーマに短編小説を執筆。京都を舞台に、光源氏を老舗お香家を営む一族会社の次期社長である現代のプレイボーイ、光昭に置き換え、彼を取り巻く4人の女性の姿を描いた。ビズー新宿店で開催された発表イベントで山内は、「大河ドラマ『光る君へ』が放送されて、関連書籍を集めていたので、この企画は”渡りに船”だった。各キャラクターがどう自分の人生の舵を切ったら幸せになれるか描いた。このストーリーを通して夢をチャージしてほしい」と語った。
立場も個性も違う女性とジュエリーを物語で軽やかに表現
小説では、現代版の紫の君としてアルバイトから光昭の妻になった紫織、六条御息所は弁護士として活躍する瑞貴、朧月夜はインフルエンサー兼会社経営者の月子、明石の君は実家暮らしの銀行員の明日香と、キャリアも立場も異なる女性が登場。彼女たちが自分の置かれた状況や光昭との関係性などについて日々感じる心のモヤモヤや揺らぎといったものが軽やかに表現されている。それぞれに関連するジュエリーが登場するわけだが、最も印象的なのが紫織のストーリーだ。社長夫人になっても、「結婚指輪をはめた左の薬指以外は自由」と自分で稼いだお金で毎年、好きなリングを購入する。山内は、「結婚指輪にときめくのは社会的にそのような風潮があるから。左手薬指に指輪=誰かの所有物というのは、ステレオタイプ的な考え。無意識なバイアスを濾過して現代に生きる女性の姿を表現したかった」とコメント。この物語の中では、4人の女性たちのリアルな声を通して、社会的な自立と心の支えとなるジュエリーが描かれている。
4人の女君の個性をたおやかに表現したジュエリー
紫の上から着想を得たジュエリーは、あこや真珠とアメシストなどのピンクカラーの色石を使用したフェミニンなデザイン。六条御息所をイメージしたジュエリーは、黒蝶貝やアレキサンドライトなどクジャクの羽を思わせる宝石とデザインで高貴なイメージに仕上げた。明石の君のジュエリーは、ブルーサファイアなど涼やかなカラーストーンを用いてさざなみや流水紋を想起させる穏やかな印象。朧月夜は、ブルージルコンとイエローゴールドのコントラストが神秘的なイメージだ。
4人の生き方や魅力を色鮮やかに表現したジュエリーは、デイリーに着用できるリングやネックレスなど4型で価格は、9万2400~27万9400円。独創的なデザインと高度な職人技が融合したプレミアムラインは5型、ビズー京都店限定で販売する。山内が書き下ろした小説の挿絵は、京都在住の画家である松平莉奈が担当。この短編小説付きジュエリーは限定100点、11月19日に発売する。
また、ビズー京都店では発売日から2026年1月18日まで、企画展を開催。女君ごとにコーナーを作り、プレミアムジュエリーや物語、挿絵などを展示する。
京都店の認知度アップ&女性の多様性の表現
「ビズー」が「源氏物語」をテーマに選んだ理由は、京都・祇園の町家を改造したビズー京都店の認知度アップが目的だ。京都といえば、「源氏物語」の舞台。その発想から誕生したのがこの企画だ。最近、訪日客が増えているとはいえ、京都在住者や日本人旅行客にも店舗の存在を知ってほしいという思いがあるという。また、「源氏物語」にはさまざまな女性が登場する。それら女性の個性をジュエリーで表現してみてはというチャレンジでもあったようだ。