松屋の2025年中間期(3〜8月期)連結業績は、総額売上高(小売売上高に相当)が前年同期比14.5%減の602億円、営業利益が同63.8%減 の10億500万円、純損益が2億900万円の赤字(前年は17億6800万円の黒字)だった。松屋銀座本店の免税売上が想定を大きく下回ったことに加え、EC運営子会社MATSUYA GINZA.comの業績不振に伴う減損損失(約10億円)の計上が響いた。
銀座店の総額売上高は前年同期比16.2%減の529億円。特に中国、韓国、台湾など東アジア主要国の客数減と客単価の落ち込みが目立ち、免税売上高は前年同期比35.4%減の203億円。客数は同14%減の15.4万人だった。特に高額品の売上減が顕著で、ブランドバッグなどが含まれる「一般品」の売上高は同37%減少した。一方、国内売上高は同3%増の327億円で、特に外商カードや松屋カードを保有する「ID顧客」の買い上げは7%増と伸ばした。中でも、年間購入額100万円超のロイヤル顧客の客単価は同31%伸長。外商に向けた特別な商品提案やラウンジの新設などCRM(顧客関係管理)の強化、100周年を絡めたプロモーションや限定商品の展開などにより、松屋ファンのエンゲージメント深耕と購入増につながった。
一方で、デジタル事業の中核と位置づける「MATSUYA GINZA.com」は、ラグジュアリー・ブランドとの契約再交渉の遅れやデザイナーシャッフルによる本国側体制の変更などが影響し、事業進捗が当初計画を下回った。これにより同社ののれん・ソフトウエアなどに関する減損損失10億円を連結で計上し、親会社としては、同社向け融資に関する貸倒引当金繰入額22億円を特別損失として処理した。テコ入れすべく、9月1日付で親会社・松屋の大高壽美代執行役員MD戦略室長がMATSUYA GINZA.comの社長を兼任。ブランドとの交渉を推進するとともに、リアル店舗と連携したオムニチャネル基盤の整備を進める。
こうした状況を踏まえ、26年2月期通期の連結業績予想を下方修正する。総額売上高は前期比11.1%減の1220億円、営業利益が同55.4%減 の20億円、純利益が同49.7%減の12億円を見込む。免税は、下期も前年同期比25.3%減と大幅な減収を予想する。