毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年10月6日号からの抜粋です)
木村:2026年春夏ロンドンコレの大きなトピックは、英国ファッション協議会のトップがローラ・ウィアーさんになったこと。ロンドンコレは参加ブランドが多くて全部見ようとするとすごく大変ですが、ローラさんほぼ全コレクションの会場にいました。すごく熱心で、今後が楽しみ。ニューヨークはどうでしたか?
NYは“クラフト”が新しい価値に
本橋:米国は若者の人口が多いゆえ、NYブランドも彼・彼女たちに対し、いかに魅力的に映るブランドになれるか?をすごく大事にしている印象でした。今号の表紙にした「コーチ(COACH)」がその代表格ですが、ショーから見えたキーワードは“クラフト”。ビンテージ要素や手仕事をクリエイションに織り込み、「人間らしい営み」や「唯一無二」の価値を感じることができました。セレクトショップ発の「コルボ」も、少し緩めのシルエットのセットアップなど、エフォートレスな雰囲気が濃く、ニューヨーカーのスタイルの変化を感じました。
木村:アメリカはZ世代が多く、今後有望なマーケットですよね。ロンドンでも、そんな市場を狙うかのようなミニマルなスタイルが増えたのが印象的でした。一方、トルコ出身のデザイナー、「ディラーラ・フィンディコグルー」のショー会場には、全身ダークゴスなファッションに身を包んだ若い層が行列を作っていて、入れない人も多数。ショーもすごく盛り上がり、カルト的な人気を感じました。コレクションについては、最新ルックがネット上で公開されて、世界中が同時にデジタルで情報を見れる時代。記者が伝えるべきことを探すことは、常に自分のテーマなのですが、現場の熱気や世界観の表現など、その場にいるからこそ得られる臨場感や興奮があると感じ、モチベーションが上がりました。
本橋:いいですね。僕もレイチェル・スコットが手掛ける「ディオティマ」の、自身のルーツ・ジャマイカの伝統的クラフトをふんだんに取り入れながらも、無理やり感がなく、みんなが共感できるものに仕上げたコレクションに感動しました。その場にいたからこそ書ける記事を書きたいですね。