「フェンディ(FENDI)」は、フェンディ家の3代目で、現在はメンズとアクセサリーのアーティスティック・ディレクターを務めるシルヴィア・ヴェントゥリーニ・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)が、同職を離れて名誉会長に就任することを発表した。新たなクリエイティブ・ディレクションについてはコメントをしていないが、関係者の間では「ディオール(DIOR)」を離れたばかりのマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)、同じく「マルニ(MARNI)」を去ったフランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)、そしてウィリー・チャヴァリア(Willy Chavarria)が後継候補として浮上しているという。
シルヴィアは、1992年から2019年までカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)のアーティスティック・ディレクションを支え、1994年からはアクセサリーとメンズを担当。今年のブランド創業100周年では、キム・ジョーンズ(Kim Jones)退任後のウィメンズ・コレクションのデザインも手掛けていた。
名誉会長への就任に際してシルヴィアは、「これまでの年月は本当に刺激的で、祖母アデーレ(Adele)、母アンナ(Anna)、そしてアンナの姉妹たちの名のもとに歩んできた旅でもありました」と語った。さらに「でも最後は偉大な師であり、そばで働く機会を与えてくれたカールに感謝したい。彼は『分かち合う』という芸術を教えてくれた。これは私の家族の女性たちの歴史を定義し、私自身のクリエイティブなビジョンを育み、守り、自らの翼で飛べるよう導いてくれた。クリエイティブな面だけでなく、人間的な面においても、まずはカール、次にキム、そして最後に私の素晴らしいチームに感謝したい。チームは、長年にわたって私の家族の一部となった」と述べる。
シルヴィアは今後、ブランドの伝統とクラフツマンシップ、そして長年デザイナーとして力を注いできたインテリアのラインに注力する。
フェンディ会長兼最高経営責任者(CEO)のラモン・ロス(Ramon Ros)は、「シルヴィアは『フェンディ』のクリエイティブ・ディレクションを形作るうえで大きな貢献を果たし、ブランドの国際的な成功に不可欠な存在だった。彼女のビジョンは、『フェンディ』をローマの職人芸に根ざしたルーツから未来へと導き、100周年記念を迎えるに至っている。シルヴィアが新たな役職で主導するプロジェクトをとても楽しみにしている」とのコメントを発表した。
後任についてはフランチェスコとマリア・グラツィア、そしてウィリーとの継続的な話し合いが行われているとされている。中でもマリアは「ヴァレンティノ(VALENTINO)」以前に「フェンディ」でも働いており、シルヴィアとの関係も良好と言われる。実際シルヴィアは今年5月、マリア最後の「ディオール」でのファッションショーに出席している。