ロレアル(L’OREAL)の2025年1〜6月期(上半期)決算は、売上高が前年同期比1.6%増の224億7330万ユーロ(約3兆8429億円)、営業利益が同3.1%増の47億4010万ユーロ(約8105億円)、非経常項目を除いた純利益が同1.0%増の37億8300万ユーロ(約6468億円)だった。新興市場が2ケタ成長を記録し、中国市場も回復傾向となった。全事業部で成長を確保した中で、プロフェッショナル向けブランドが全体をけん引した。マス向けブランドは、北米市場でメイクアップ製品を含めて復調の兆しがみられた。フレグランスとヘアケアは、引き続き全カテゴリーの中で最も高い成長率を示した。
美容師向けブランドが
欧州と新興市場で2ケタ成長
事業部別の売上高は、プロフェッショナルプロダクツ事業本部が同4.9%増の25億4660万ユーロ(約4354億円)と継続的な成長を維持した。売り上げは全ての地域で増加し、特に欧州と新興市場の成長率が10%台半ばを記録した。依然として活況のプレミアムヘアケアカテゴリーが好調で、「ケラスターゼ(KERASTASE)」がけん引した。6月には急成長するプロフェッショナルヘアケアブランド「カラー ワウ(COLOR WOW)」の買収を発表し、ブランドポートフォリオをさらに強化している。
コンシューマープロダクツ事業本部は、同1.1%増の84億1300万ユーロ(約1兆4386億円)だった。新興市場が引き続き主要な成長ドライバーとなり、ブラジルとメキシコ、インド、中東湾岸諸国で2ケタの成長を記録した。ヘアケアカテゴリーでは「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」などの新製品が好調で、2ケタ成長の勢いを維持した。スキンケアはエイジングケア製品が好調だったが、メイクアップは勢いが鈍化した。
高級市場は「YSL」「プラダ」
「アルマーニ」「イソップ」が好調
リュクス事業本部は、同1.0%増の76億5790万ユーロ(約1兆3095億円)だった。成熟市場は堅調だったものの、ドイツ、オーストリア、スイス、スペイン、ポルトガルは高パフォーマンスを示し、新興市場では2ケタ増を達成した。フレグランスカテゴリーでは引き続き「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」「ヴァレンティノ ビューティ(VALENTINO BEAUTY)」「プラダ ビューティ(PRADA BEAUTY)」「アルマーニ ビューティ(ARMANI BEAUTY)」がけん引し、トップシェアのポジションを維持した。メイクアップでは継続して「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」が貢献。新製品のチーク“メイクミーブラッシュ”やリップ“ザ インクス”の成功に加え、ファンデーション“タン ラディアント タッチ エクラ”やリップの“ラブシャイン”シリーズなど、既存品の人気も成長に寄与した。「プラダ ビューティ(PRADA BEAUTY)」と「アルマーニ ビューティ(ARMANI BEAUTY)」は展開を拡大し、2ケタ成長を達成。「イソップ(AESOP)」も2ケタ成長を維持した。6月、英国発のプレミアムスキンケアブランド「メディケイト(MEDIK8)」の過半数株式を取得することで合意したと発表しており、同事業本部のポートフォリオに成長ポテンシャルの高いブランドを加えた。
ダーマビューティは
オンライン売り上げが拡大
ダーマトロジカル ビューティ事業本部は、同1.7%増の38億5590万ユーロ(約6593億円)だった。中国本土と新興市場で2ケタ成長を記録した。北米市場が引き続き減速する中、市場を上回る成長を示した。特にオンライン売り上げが好調だった。欧州は昨年の日焼け止め製品の販売の段階的廃止の影響を受けた。最も好調だったのは「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE POSAY)」で、敏感肌でも使える低刺激性のフェイスクリーム“シカプラスト リペアクリーム B5+”やブライトニング美容液“メラ B3 セラム”などがけん引した。「スキンシューティカルズ(SKINCEUTICALS)」は2ケタ成長を維持。「セラヴィ(CERAVE)」は中国本土でシェアを拡大し、最大の市場である米国でも勢いを回復した。
地域別の売上高は、欧州が同3.4%増の75億3440万ユーロ(約1兆2883億円)、北米が同0.4%増の58億2420万ユーロ(約9959億円)、北アジアが同1.5%増の53億9270万ユーロ(約9221億円)、南アジア太平洋・中東・北アフリカ・サブサハラアフリカが同9.2%増の20億5820万ユーロ(約3519億円)、ラテンアメリカが同1.0%減の16億6380万ユーロ(約2845億円)だった。
イエロニムスCEO「市場の
緩やかな改善が下半期も継続」
ニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)最高経営責任者(CEO)は、「売上高の成長率は第1四半期から第2四半期にかけて加速した。新興市場の継続的な成長と中国本土の緩やかな回復、北米の段階的な回復が、欧州で予想された減速を相殺し、当社の多極化モデルが有効であることを再び示した。この加速は、グローバルビューティ市場の緩やかな改善に支えられており、この傾向は今後2四半期にも継続すると予想している。営業利益率は営業費の厳格な管理が寄与し、前年同期比で0.3%改善した。今年後半も、ヒット製品の展開や魅力的な新製品の発売を予定している。特に「プラダ(PRADA)」のメンズ フレグランスと「ミュウミュウ(MIU MIU)」の新フレグランスが注目される。現在の経済的・地政学的な緊張にもかかわらず、グローバルなビューティ市場は成長を続けると予想される。当社は引き続き市場を上回るパフォーマンスを発揮し、売上高の成長と利益率の向上を実現できると確信している」とコメントした。